研究課題
本年度は、(1)イネ有機栽培育苗土の微生物多様性の解析と同培土から単離された細菌のイネ苗病害抑制活性について検討を行った。(1)独立に有機イネ栽培を行う4農家から分譲された有機栽培育苗土およびコントロールとして2種類の市販の慣行育苗培土からDNAを抽出し、16SrDNAと18SrDNAについて、PCR-DGGE法により、メタゲノム解析を行った。その結果、バンドパターンデータから、慣行培土よりも有機培土において、細菌と糸状菌の種類(Richness)と均一性(Eveness)が高いことが明らかになり、有機培土には多様な微生物がバランスよく生息していることが明らかになった。(2)有機培土から培養法によって細菌を分離し、16S rDNA配列に基づく分類を行い、それぞれの細菌のイネもみ枯細菌病抑制活性の有無を解析した。その結果、59コロニー中46個がPseudomonas sp.と推定され、その中でもメジャーな1菌群とマイナーな5菌群に分けることができた。また、イネもみ枯細菌病抑制活性は、マイナーな2菌群において確認された。次に、病害抑制活性が認められたPseudomonas sp.(2)の効果に対する、分離した他のPseudomonas sp.の混合施用の影響を調べたところ、Pseudomonas sp.(2)に他の4菌群を添加すると、病害抑制活性が促進された。この病害抑制活性にはPseudomonas sp.(2)が必要であることから、他の菌群がPseudomonas sp.(2)の効果を促進しているものと考えられた。このことは、微生物多様性が病害抑制活性に影響を及ぼす可能性を支持している。
3: やや遅れている
微生物集団を構成する各微生物の種類と割合を把握するため、次世代シークエンサーを用いた解析を行ったが、得られたデータが膨大であるため、最終的な解析結果がまだ得られていない。
膨大な塩基配列データから、微生物集団を構成する各微生物の種類と割合を解析し、最終的な解析結果を得る。さらに、その結果に基づき、代表的な菌種について、PCRと塩基配列決定による微生物種の同定と培養による同菌の単離を行い、同菌の今後の特性解析に資する。
微生物集団を構成する各微生物の種類と割合に関するデータが膨大であるため、最終的な解析結果がまだ得られていない。また、その結果に基づき、代表的な菌種について、PCRと塩基配列決定により、微生物種の同定と培養による同菌の単離を行う必要がある。
代表的な菌種を明らかにするためには、PCRと塩基配列決定による微生物種の同定および培養による同菌の単離が必要である。そのための一般試薬、分子生物学実験を使用する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Organic Agriculture
巻: 4 ページ: 187-196
Microbes and Environments
巻: 29 ページ: 168-177