本研究で提案しているBuliding Blocks法はRNAiの新しい手法であり、複数のターゲット遺伝子から40~60bp程度の配列を選び、それらをつないだ合成DNA配列によりサイレンシングを誘導するものである。昨年度、この手法を用いてイネ科植物いもち病菌の病原性因子である細胞壁加水分解酵素を対象とし、ゲノム上の11個のendoxylanasesおよび9個のcellobiohydrolasesを同時にサイレンシングさせることに成功した。その結果、これらの酵素が単独の破壊株では病原性への寄与が明確でないにも関わらず、全体としては有意に病原性の発現に寄与していることを明らかにすることができた。本年度は、お互いに塩基配列に類似性のあるファミリー遺伝子ではなく、まったく異なった配列を持つ複数の遺伝子にBuliding Blocks法が適応可能かどうか調査した。対象としては、プログラム細胞死に関与すると想定される二種のメタカスパーゼ様遺伝子、AIF様遺伝子、EndG様遺伝子の4つである。これらから複数の60bp配列を組み合わせて、サイレンシングを誘導したが、すべての遺伝子を同時に効率よくサイレンシングさせることはできなかった。サイレンシングの効率は、ベクター上の位置や順番ではなく、トリガーとなる塩基配列が重要であることが示された。これらの解析の結果、メタカスパーゼ様遺伝子の一種が付着器形成に大きな影響を与えていることが示唆された。
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