研究概要 |
本研究の目的は、ウイルス感染の報告例がないアカパンカビ(Neurospora crassa, 子のう菌、糸状菌)で複製可能なウイルスを探索し、ウイルス/宿主相互作用解析のモデル系を確立することにある。アカパンカビでは利用可能な強力な遺伝学、さらには整備された各種研究ツールが利用可能である。これまでウイルス・宿主相互作用研究で着目されなかったこの系を利用し、新たな展開を図る。 本課題は3つの中課題1[アカパンカビ感染性ウイルスの探索]、 2[ウイルス病徴発現・複製に関与する宿主因子の同定]、3[ウイルス病徴発現・複製に関与するウイルス因子の同定]から構成させる。本年度は中課題1を実施した。具体的には以下の研究項目を遂行した。 1 クリ胴枯病菌感染性ハイポウイルスcDNA(Suzuki et al., JVI, 1999)をアカパンカビに導入した。2 Saccharomyces cerevisiae感染性ナ-ナウイルスcDNA(Esteban and Fujimura, PNAS, 2003) をアカパンカビに導入した。3 クリ胴枯病菌感染性マイコレオウイルス粒子(Suzuki et al., JGV, 2004; Hillman et al., JGV, 2004))をアカパンカビに導入した。 4 白紋羽病菌感染性メガビルナウイルス粒子(Chiba et al., JVI, 2009)をアカパンカビに導入した。5 1-4の形質転換体あるいはトランスフェクタントからウイルスRNA(複製中間型dsRNAあるいはmRNA)を抽出し、感染の有無を確かめた。しかし、すべて陰性であった。
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