研究実績の概要 |
本研究の目的は、ウイルス感染の報告例がないアカパンカビ(Neurospora crassa, 子のう菌、糸状菌)で複製可能なウイルスを探索し、ウイルス/宿主相互作用解析のモデル系を確立することにある。アカパンカビでは利用可能な強力な遺伝学、さらには整備された各種研究ツールが利用可能である。これまでウイルス・宿主相互作用研究で着目されなかったこの系を利用し、新たな展開を図る。 本課題は3つの中課題1[アカパンカビ感染性ウイルスの探索]、 2[ウイルス病徴発現・複製に関与する宿主因子の同定]、3[ウイルス病徴発現・複製に関与するウイルス因子の同定]から構成させる。本年度は中課題1-3を同時実施した。下記のように、世界初のカパンンカビで複製可能なウイルスの発見に至る成果につながった。具体的には以下の研究項目を遂行した。 1 クリ胴枯病菌感染性マイコレオウイルス(MyRV1)粒子(Suzuki et al., JGV, 2004; Hillman et al., JGV, 2004))をアカパンカビに導入し、ウイルス複製を確認した。 2 白紋羽病菌感染性パルティティウイルス(RnPV2)粒子(Chiba et al., JVI, 2013)をアカパンカビに導入し、ウイルス複製を確認した。 3 1, 2で得られた感染株をRNAサイレンシング成分各種変異株と融合させ、それら宿主成分のウイルス感染への影響を解析中である。 4 MyRV1変異株、RnPV2変異株をトランスフェクションにかけ、ウイルス複製を解析中。
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