研究課題
ナス科植物青枯病菌RS1002の野生株はナス台木トルバムビガーに過敏感反応(HR)を誘導するが、本菌のrip36欠損変異株並びに本菌のRip36に保存されたZnプロテアーゼモチーフを改変させたrip36E149A変異株はHR誘導能を欠損したことより、Rip36がトルバムビガーにHRを誘導する非病原力遺伝子であることが判明した。本研究成果はMolecular Plant Pathologyに公表した。Rip36と同様なZnプロテアーゼモチーフを保存するエフェクターとしてPseudomonas syringaeのHop1が知られている。全塩基配列が解読済みのP. syringae pv. tomato DC3000 (Pto)とpv. syringae B728a (Psy)はhopH1を有し、トルバムビガーにHRを誘導するが、hopH1を有しないpv. phaseolicola 1448A (Pph)はHRを誘導しない。そこでPtoやPsyのhopH1をPphに導入するとHR誘導能を獲得したことより、P. syringaeのhopH1も非宿主トルバムビガーにHRを誘導する遺伝子であることが判明した。さらに、HopH1のZnプロテアーゼモチーフHELVHをHALVAに改変することによりHR誘導能を欠損したことより、HopH1もRip36と同様HR誘導にはZnプロテアーゼ活性が必要と推察された。これらの成果は現在論文として投稿中である。酵母Two-hybridシステムを用いたスクリーニングにおいては残念ながら確実な陽性クローンは得られていない。また、Rip36を誘導発現する形質転換シロイヌナズナを複数ライン作出した。いずれのラインにおいても、Rip36の発現誘導による植物の生育阻害効果は観察されなかった。本エフェクターの作用部位として、植物細胞の維持・増殖に関わる基本システム以外の経路、例えば自然免疫経路等が推測される。
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Molecular Plant Pathology
巻: 15 ページ: 297-303
10.1111/mpp.12079