研究課題
既知の抵抗性遺伝子の塩基配列情報を利用した新規抵抗性遺伝子単離法は必ずしも有効でない。抵抗性タンパク質が病原体タンパク質を認識する際、第三のタンパク質因子(共役因子)を含むタンパク質複合体を形成すると考えられている。我々はこれまでにトウガラシのトバモウイルス抵抗性に関わるL抵抗性タンパク質の共役因子として、LIPM1およびLIPM2を酵母ツーハイブリッド(Y2H)法によって単離した。本研究は、これら共役因子との相互作用を利用して新規の抵抗性遺伝子を探索する方法を確立することを目的とした。昨年度までに、抵抗性タンパク質のN末端領域をY2H用のDNA結合ドメインのN末端側に融合させる形でcDNAライブラリーを作製する方法を確立し、トウガラシおよびL抵抗性タンパク質と同様にトバモウイルスの外被タンパク質を認識する抵抗性遺伝子を持つことが知られるナスのcDNAライブラリーからLIPM1および/またはLIPM2と相互作用するcDNAクローンをY2Hによって選抜した。今年度,得られたcDNAクローンの塩基配列を解析したところ,配列に多様性が認められ,LIPM1およびLIPM2がトバモウイルスに対する特異性を決定するものではないことが示唆された.そこで,Lタンパク質においてLIPM1およびLIPM2との相互作用に関与する領域を探索した結果,Lタンパク質の200アミノ酸からなるCCドメインのうち,後半がLIPM1およびLIPM2との相互作用に重要であることが示唆された.この領域にはL,N’,I2およびR3aで保存されたcoiled-coilモチーフが存在し,LIPM1およびLIPM2が保存領域と相互作用することが示唆された.ウイルス誘導性サイレンシングを用いてLIPM1あるいはLIPM2の発現を抑制したところ,Lタンパク質だけでなく,Tm2やPtoなどによる抵抗反応も促進されたことから,これらの相互作用因子はトバモウイルスを認識する段階ではなく,細胞死のシグナルの制御に関与していると推察された.
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