研究課題
植物免疫反応におけるセロトニンの機能を明らかにするため、イネのセロトニン合成酵素であるSLを過剰発現する形質転換シロイヌナズナを作成した。しかし、免疫応答に関して、SLの過剰発現による顕著な影響は見られなかった。そこで、シロイヌナズナを用いて、セロトニンによって誘導される免疫応答を詳細に解析した。シロイヌナズナの葉に、セロトニンとその前駆体であるトリプタミンを処理し、防御反応の1つであるカロースの蓄積を解析した。その結果、セロトニンによってカロースの蓄積が誘導されるが、トリプタミンでは誘導されないことがわかった。さらに、セロトニンを植物体に処理に、防御遺伝子の発現を解析した。その結果、防御遺伝子として知られているPR1やPR2の発現がセロトニンによって誘導されるが、トリプタミンによっては誘導されないことがわかった。また、植物免疫応答においては、MAPKの活性化が重要な役割を果たしていることが知られている。そこで、セロトニンとトリプタミンに応答したMAPKの活性化を調べた。その結果、セロトニンとトリプタミンの両方の処理においてMAPKの活性化が誘導されるが、トリプタミンではMAPKの活性化が一過的であるのに対し、セロトニンでは持続的にMAPKが活性化されていることがわかった。このように、セロトニンにより、複合的な免疫応答が協調的に誘導されることがわかった。このことは、セロトニンが植物の免疫活性化因子として機能していることを強く示唆している。
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