研究課題/領域番号 |
24658050
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 利治 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227152)
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研究分担者 |
中松 豊 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (00456617)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生物間相互作用 / 内部寄生バチ / 生理的ストレス / 物理的攻撃 |
研究概要 |
内部寄生蜂2種を同じ寄主に同時あるいは違った時期に寄生させることで寄生バチの幼虫期における種間競争を明らかにするために、Cotesia kariyai(Ck)、Cotesia ruficrus(Cr), Meteorus plucricornis(Mp)の3種寄生バチを使ってそれぞれの組み合わせでどれが脱出してくるかを検討、さらに解剖することで幼虫同士が大あごでかみ合うphysical combatを確認した。多寄生バチは、大あごの発達が貧弱なために相手に攻撃をしない事を予測していたがCkはかなり攻撃的でCrはほとんど脱出してこなかった。ただ同時寄生の場合は、お互いに寄主資源をshareすることが出来るようであった。またMpは、大きなあごを幼虫期に持っていることから同時に多寄生が寄生した場合は、ほとんどMpが脱出してきた。このあたりの結果を踏まえたReviewをAnnual Review of Entomologyに投稿し受理された(Ann Rev. Entomol.58, 333-352, 2013)。今回でphysical combatは明らかになった事から、さらに生理的stressを作ることで相手の発生を抑制する機構を解明するためにそれぞれの蜂のポリドナウイルスとテラトサイトを相互に入れ替えることでそれぞれの要因の制御機構を明らかにしている。ただ今回、寄主がウイルスに感染してコロニーが大打撃を受け現在立て直し中である。注した寄主がほとんど死亡してしまう事態なので生理的ストレスの解明は進んでいない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
寄生蜂間の物理的排除に関しては、ほぼ確定が出来たが、Cotesia kariyai(Ck) またはCotesia ruficrus(Cr)のポリドナウイルス (PDV) あるはMeteorus pulchricornis (Mp) のvirus like particle (VLP) が作る生理的ストレスの解析はタンパクレベルで行っているところ。当初の予定ではCk あるいはCrが寄生している寄主にMpのVLPを注入することで脂肪体や血球で発現しているPDVの違いを調べるところだったが、C. ruficrusが現在絶滅してしまったので、九州に採集に行ってコロニーの立て直しから行う。
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今後の研究の推進方策 |
今後は生理的ストレスの解析を行う。主に計画としては寄生バチ3種の幼虫とテラトサイトやPDVまたはVLPを相互入れ替えして制御している主要因を明らかにしていく。特に寄生出来ない終齢でもC. kariyai(Ck)のPDVでの制御により寄生成功率がかなり上昇する事を見つけたが、その原因を明らかにし、Ckがなぜ他の蜂に比べて終齢まで寄生できるようになったかの原因遺伝子までを特定する。最初の予測ではMpのVLPが他の寄生バチの発育を抑制すると思っていたが、Ckに対してはほとんど抑制効果がない事がわかったので、Mp-VLPの抑制効果を見るためにはCrのコロニー復活が必須である。
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次年度の研究費の使用計画 |
寄主の5令や6令に寄生可能する原因となっていいるCkがもつ寄主制御要因を明らかにし、その寄主環境を作るPDVの遺伝子を明らかする予定なので、タンパク分析のための試薬やクローニング、RNA抽出、プライマー作成など消耗品を多く購入する
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