研究課題/領域番号 |
24658051
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
渡辺 雅夫 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00034992)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超音波 / 農業害虫 |
研究概要 |
当研究室は、果樹園に飛来し吸汁加害をするヤガ類を、果樹園に寄せ付けない超音波のパルスパターンを見いだし、さらに幼虫が食害を及ぼす蛾類についても超音波によって被害を少なくできることを明らかにしてきた。その研究過程で、昆虫の聴覚の判定に用いる音量の単位、デシベルが適当であるのかという視点に基づき、本研究では昆虫の聴覚の感覚世界の理解を進め、昆虫の聴覚特性に合う音量単位を検討することを目的とした。 24年度の研究計画は、ヨトウガを用いた2つの超音波パルス間隔と反応閾値、パルス長と反応閾値、パルス頻度と反応閾値、慣れ抑制のための複合パターンの有効時間等を調べる予定であった。このために、まず刺激音を出す圧電素子に種々の9ボルト電圧を与える電気刺激装置の導入、音量測定のためのマイクロホン・アンプシステムの構築等を進めてきた。この中で、マイクロホン・アンプシステムにノイズの混入する問題が起こったため、この調整に時間がかかった。原因は、予算の都合でアンプの規格を変更せざるを得なかったこと等が考えられる。 そのような中で一部の測定の実施をしたが、ヨトウガの聴覚特性を明らかにするところまでは、まだ至っていない。当面の材料としている、ヨトウガ、ノシメマダラメイガの研究室内での継代飼育は、飼育補助者を使うことで順調に継続できている。超音波音源の複数のシステム系を準備することができ、音量測定のための装置および材料昆虫の準備ができていることから、当初の実験予定は次年度中には遂行できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回導入したマイクロホン・アンプシステムで細かな音量を測定をしようとしたとき、ノイズが混入することが起こったため、この調整に時間がかかった。予算の都合でアンプの規格を変更せざるを得なかったことが原因と思われたが、他のアンプを使うことで、音量測定システム構築することができた。そのような中で一部の測定の実施をしたが、ヨトウガの聴覚特性を明らかにするところまでは、まだ至っていないため、やや遅れているという点検結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
超音波音源の複数のシステム系を準備することができ、音量測定のための装置および材料昆虫の準備ができていることから、当初の実験予定である、ヨトウガ、ノシメマダラメイガの種々のパルスパターンの超音波に対する反応閾値の検討を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、音量測定のシステム構築に時間がかかったため、昆虫の飼育は系統維持を主目的とし、飼育個体数を減らすなど調整していたため、飼育に関係する消耗品等の支出が少なくてすんだ。次年度は温度勾配恒温器を導入し、ノシメマダラメイガなどの飼育温度を変えることで発生調節を行なって飼育のための労力を減らしたいと考えている。そのため、次年度予算額の多くの部分を、温度勾配恒温器が占めるようになるため、昆虫飼育のための飼料材料等の予算を確保するためにも、次年度に予算を持ち越すことにした。
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