研究実績の概要 |
トランスポゾンpiggyBacにDNA結合配列を付加して配列特異的に挿入が起こるような変異型piggyBacの作製を試み、カイコ培養細胞における転移活性検討の解析と、カイコ受精卵における転移活性について検討し、3種のpiggyBacヘルパープラスミド(非改変、改変(ターゲット1)および改変(ターゲット2))をそれぞれtransfervector(pBac[3xp3DsRedafm]E1_HC-EGFP)とともに培養細胞およびカイコ受精卵に導入して転移配列を解析した。 まず、昨年に引続きBmN細胞への遺伝子挿入を解析した。得られた挿入イベントから周辺配列をクローニングし、配列解析したところ、今回ターゲットとした配列(TG1: GCAGATCTA, TG2:GGTGATCGC)配列近傍への挿入は認められなかった。 次にカイコ受精卵での転移近傍配列の解析では、カイコ受精卵へマイクロインジェクションし、3日後のゲノムDNAを回収して転移した標的配列の周辺配列のクローニングと配列確認を試み、それぞれ、44クローンの解析を行なったところ、やはりpiggyBac転移酵素へDNA結合配列の付与による配列特異的な挿入活性は検出されなかった。 一方で、改変型のpiggyBac 転移酵素では、典型的なTTAA配列への挿入に加えてTTAA配列以外への転移が検出されており、配列特異性の乱れが生じていることが示唆された。 piggyBac転移酵素へのDNA結合配列の付加による挿入部位の制御については、その実現は困難であると考えられる結果となったが、挿入部位の配列特異性の乱れについては、今後詳細な解析が必要と考えられた
|