日用品に含まれるナノ銀は,洗濯や入浴などの日常生活で容易に溶出して下水に流出するといわれる.銀化合物全般については,ナノ粒子に限らず土壌中での挙動がほとんど明らかにされていない.そのため,製造されたナノ銀が環境中に放出され,土壌や水系での挙動と運命,それらの生物・生態系への影響という一連の過程での網羅的な研究が必要であるが,特に出発点である土壌でのナノ銀の挙動解明が最も重要な課題である.本研究により,土壌の酸化還元状態によって銀イオンおよびナノ銀の挙動に違いがみられること,黒ボク土の方が灰色低地土よりも,銀の吸着量が多いこと,ナノ銀粒子は畑地のような酸化条件では変化しにくいことが分かった.
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