研究課題/領域番号 |
24658065
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
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研究分担者 |
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (20391287)
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キーワード | グルタチオン / 篩管 / 亜鉛 / PETIS |
研究概要 |
本研究の目的は、様々な生理活性を持つトリペプチドのグルタチオンが植物の葉において機能し、植物体の地上部への亜鉛の移行と蓄積を活性化する現象の引き金となる篩管内を長距離移行するシグナルを解明することである。平成25年度は葉に与えたグルタチオン自体がシグナルとして機能している可能性を模索した。平成24年度に構築した高速液体クロマトグラフィーの実験系を利用して、篩管液中に存在するグルタチオン量を評価した。葉にグルタチオンを施用した場合でも、篩管内を移行するグルタチオン濃度はほぼ一定の値であった。そのため、葉に与えたグルタチオン自体が篩管に積み込まれて、長距離移行するシグナルとして機能している可能性は低いことが考えられた。グルタチオンは生体内で還元型、酸化型と異なる2つの化学形態をとる。そして、その還元型と酸化型の存在比の変化が生体内のシグナルとして機能していることが知られている。平成25年度は当初の達成目標にあったように、グルタチオンの還元型、酸化型を同時に測定する実験系を立ち上げることに成功した。現在、この実験系を利用して、グルタチオンの還元型、酸化型の存在比がシグナルとして機能している可能性を検証している。また、グルタチオンは化学型が異なると植物体内の亜鉛動態に及ぼす影響も異なることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの2年間の研究期間で、篩管内をシグナルとして長距離移行していることが予想されるタンパク質をはじめとする様々な物質を評価する実験系を確立することができた。この実験系を利用して、最終年度の研究を推進していくことによって、葉に与えたグルタチオンによって誘導される篩管内を長距離移行するシグナルの実態に迫ることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、篩管液タンパク質の解析、篩管液グルタチオンの動態の解明、篩管液のプロテオーム解析を行うことによって葉へのグルタチオンに応答して、篩管内を長距離移行するシグナルを明らかにすることを計画している。また、ポジトロンイメージング技術によって亜鉛動態を可視化し、グルタチオンの応答したシグナルが機能している場所を同定したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
篩管液タンパクの解析を平成26年度に集中して行う研究計画とした。そのための消耗品費用を平成26年度分の予算へと繰り越した。 タンパク質サンプルを調製するための関連消耗品の購入、タンパク質のアミノ酸配列を決定するためのアミノ酸シークエンサー関連の消耗品の購入、微量タンパク質の構造解析を行うための質量分析関連の消耗品の購入に繰り越した予算を充当する予定にしている。
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