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2012 年度 実施状況報告書

翻訳阻害剤による浸透圧耐性獲得機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24658066
研究機関弘前大学

研究代表者

姫野 俵太  弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80208785)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード翻訳阻害剤 / 塩ストレス / 浸透圧ストレス / リボソーム / 翻訳 / シグマE
研究概要

これまでに「ある種の翻訳阻害剤により細胞が高濃度の塩に対する抵抗性を獲得する」という予備的な実験結果を得ているが、この現象は、既知の浸透圧耐性メカニズムから説明することは困難であり、それゆえに浸透圧(塩)耐性の新しいメカニズムの存在を示唆するものとなっている。本研究は、遺伝学的手法、生理学的手法ならびに生化学的手法を駆使して、翻訳阻害剤による浸透圧抵抗性獲得のメカニズムおよびその遺伝的背景を明らかにすること、そして、それを基礎とする新しい浸透圧ストレス応答の遺伝子発現ネットワークの全体像を明らかにすることを目的とする。
本年度はまず、細胞の塩耐性に対する様々な薬剤の効果を調べた。翻訳阻害剤であるクロラムフェニコール、カスガマイシン、テトラサイクリンの添加は細胞の塩耐性を上昇させた。翻訳阻害剤でも、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フシジン酸は効果がなかった。また、転写阻害剤やDNA合成阻害剤も効果がなかった。
次に、各種翻訳阻害剤存在下におけるシグマE(膜結合型シグマ因子)の遺伝子発現についてqRT-PCRを用いて調べた。まず、通常の状態(翻訳阻害剤非存在下)においては、浸透圧ショック後数時間経過した後、シグマEの一過的発現が見られた。シグマEの一過的発現は塩濃度が高いほど、その開始が遅くなっていた。おもしろいことに、翻訳阻害剤存在下においては、シグマEの一過的発現が早く始まるようになっていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず、細胞の塩耐性(浸透圧耐性)に対する各種薬剤の効果を整理することにより、翻訳阻害剤にのみ効果があることを明らかにした。また、すべての翻訳阻害剤に効果があるわけではないことも明らかにした。
また、翻訳阻害剤によりシグマEの一過的発現が早く始まるようになっていることを明らかにしたが、この発見は細胞内における未知のストレス耐性遺伝子発現ネットワークを解明する上での第一歩となることを期待させるものであった。

今後の研究の推進方策

1.シグマEの一過的発現が塩耐性(浸透圧耐性)の原因になっているのか、あるいは単なる結果なのかを明らかにする。
2.細胞の塩耐性に対するシグマE以外のシグマ因子の効果を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dissecting the in vivo assembly of the 30S ribosomal subunit reveals the role of RimM and general features of the assembly process.2013

    • 著者名/発表者名
      Guo, Q., Goto, S., Chen, Y., Feng, B., Xu, Y., Muto, A., Himeno, H., Deng, H., Lei, J., Gao, N.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: Vol.41 ページ: 2609-2620

    • DOI

      10.1093/nar/gks1256

    • 査読あり
  • [雑誌論文] GTPases involved in bacterial ribosome maturation2013

    • 著者名/発表者名
      Goto, S., Muto, A., Himeno, H.
    • 雑誌名

      J. Biochem.

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1093/jb/mvt022

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 2つの機能を有するtmRNAによる細菌の翻訳解消システム2013

    • 著者名/発表者名
      姫野俵太、栗田大輔、武藤昱
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 31 ページ: 未定

  • [雑誌論文] In vitro trans-translation assay.2012

    • 著者名/発表者名
      Kurita, D., Muto, A., Himeno, H.
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: Vol.905 ページ: 311-325

    • DOI

      10.1007/978-1-61779-949-5_20

    • 査読あり
  • [学会発表] リボソームを介した浸透圧耐性機構2013

    • 著者名/発表者名
      樽澤武房、長谷要一、後藤史門、武藤あきら、姫野俵太
    • 学会等名
      第2回リボソームミーティング
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-29
  • [学会発表] tmRNA/SmpBによる停滞したリボソームの認識機構2013

    • 著者名/発表者名
      栗田大輔、Mickey Miller、武藤あきら、Allen Buskirk、姫野俵太
    • 学会等名
      第2回リボソームミーティング
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-29
  • [学会発表] 細菌リボソーム30Sサブユニットの生合成に関与する因子群の機能2013

    • 著者名/発表者名
      後藤史門
    • 学会等名
      第2回リボソームミーティング
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-20130329
  • [学会発表] Interplay of a GTPase and a ribosome-binding factor on the 30S subunit during a late stage of the bacterial ribosome biosynthesis2012

    • 著者名/発表者名
      Goto, S.
    • 学会等名
      The 9th International Conference on Ribosome Synthesis
    • 発表場所
      Banff
    • 年月日
      20120822-20120826
  • [学会発表] The first translocation in trans-translation2012

    • 著者名/発表者名
      Takada, K.
    • 学会等名
      第14回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20120718-20120720
  • [学会発表] 線虫SL1トランス-スプライシングは生殖細胞でより活発?2012

    • 著者名/発表者名
      加藤新
    • 学会等名
      第14回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20120718-20120720
  • [図書] 弘前大学知の散歩道2013

    • 著者名/発表者名
      姫野俵太
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      弘前大学出版会
  • [備考] 弘前大学農学生命科学部分子生命科学科分子生物学研究室

    • URL

      http://hirosaki-rna.org/

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公開日: 2014-07-24  

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