研究概要 |
1) 大腸菌を宿主とした生産系の検討 大腸菌BL21株を宿主としてLgdA及びIolGを発現させ、myo-inositol (MI)からSIへの変換を試みたが、大腸菌がinositol取り込み能を有していないために全く変換が起こらなかった。そのためこの系については今後の検討を断念した。 2) 精製酵素を用いた変換系の検討 大腸菌により生産したLgdA, IolGを精製し、試験管内での変換系の構築を試みた。50 mM MI, 100 mM NAD+存在下でpH条件を変更してLgdA, IolGを同時に反応させたが、当初SIの生成は認められなかった。各酵素の至適pHを検討したところ、IolGはpH 9.0、LgdAはpH 6.0に至適pHを有することが判明したので、両酵素がある程度の活性を有するpH 7.5で再度試みたところ、最終的に反応10時間後に17.8 mMのSIが生産されていた。これは基質として加えたMIから換算すると、変換効率35%に相当する。このように両酵素を用いたSI生産系の構築が可能であることが明らかになった。 3) iolE破壊株を用いたSI生産の検討 前年度に作製したiolE破壊株を用いてSI生産について検討を行った。炭素源をgalactose、窒素源をNH4Clとした最少培地で50 mM MIを添加して培養したところ、培養96時間後にSIが10.1 mM生成した(変換効率約20%)。この時D-chiro-inositolも4.4 mM生じており、IolIによる異性化が起こっていることが示唆された。
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