研究課題
次世代のエネルギーとして太陽光発電に大きな期待が寄せられている。これまでのシリコンを用いた太陽電池に代わり、より効率の良いCu(In,Ga)Se2 (CIGS) 半導体を用いた次世代太陽電池への需要の増加が見込まれている。本研究では、従来の蒸着に替わる方法として、微生物を利用したCIGS合成法の開発、および不用となった廃棄CIGSからの微生物による銅、インジウム、ガリウム、セレンの資源回収法の開発を行う。1. 金属ナノ粒子合成に有効な微生物の単離同定ナノ粒子を合成する能力を持つ微生物を単離同定するために、該当の金属を含有する寒天培地を用いて微生物のスクリーニングを行った。セレン酸および亜セレン酸を還元する能力の高いBacillus 属、Pseudomonas属、Cellulomonas属の細菌の単離に成功した。2. 微生物による金属ナノ粒子の合成菌体を用いて得られたセレンナノ粒子抽出の条件検討を行った。亜セレン酸およびセレン酸を含む培地で培養した微生物の細胞壁を分解する酵素と界面活性剤を用いて菌体を溶菌させ、遠心分離によりセレンナノ粒子を分離・抽出する条件を確立することができた。
2: おおむね順調に進展している
研究の目的および研究計画・方法に記した下記項目のそれぞれについて、おおむね当初の計画通りに進展していると考えられるため。(i) 金属ナノ粒子合成に有効な微生物の単離同定ナノ粒子を合成する能力を持つ細菌の単離に成功した。(ii) 微生物による金属ナノ粒子の合成菌体を用いて得られたセレンナノ粒子を分離・抽出する条件を確立することができた。
これまでの研究成果に基いて、単離した細菌のセレンナノ粒子形成に関与する分子を同定し、計画にあげた「含セレン半導体ナノ粒子合成」を目指す。また、微生物による銅、インジウム、ガリウム、セレンの資源回収についても研究を進めるとともに、微生物によるCIGS 薄膜の合成という挑戦的な課題に挑む方策である。
該当なし
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