研究課題
バイオフィルム形成は塩ストレスによって誘導されることから、二成分制御系が関わっていることが示唆された。Synechocystis PCC6803のヒスチジンキナーゼ遺伝子の破壊株ライブラリーの中から、塩ストレスによるバイオフィルム形成能の測定を行った。野生株と同様に塩ストレスでバイオフィルム形成がすすむ変異株は対象から除外して、それとは逆または変化しない変異株を取得した。これらの変異株の中にはHik12, Hik14, Hik17などがあり、これらの遺伝子の前後に存在するレスポンスレギュレーターに関しても存在を確認した。これらのレスポンスレギュレーターが上記のヒスチジンキナーゼと相互作用する可能性をBacterial two hybrid法によって検討した。 この結果により、相互作用の可能性が示されてレスポンスレギュレーターにはc-di-GMPの合成を触媒ずると予想される部位が存在した。以上の頃から、二成分制御系の中に、高塩ストレスで誘導されるバイオフィルム形成に関与するものが存在することが明らかとなった。光合成による機能を利用して独立栄養成長をとげるラン藻の代謝と生合成反応は日周期に依存する。炭素の固定と炭素化合物の変換により、細胞内の浸透圧の変化が生じることから、それに関与する輸送体の発現も調整されると考えられたことから、Synechocystis PCC6803の2種類のKdp系とKtr系のK輸送体本体の遺伝子発現が概日性を示すことを昨年度までに明らかにした。Kdpのヒスチジンキナーゼが大腸菌のそれとは異なる理由を探ったところ、2つの蛋白質(KdpDとHik20)に分かれて存在していることが分かった。変異株を作成して発現を調べたところ、KdpのK輸送体を司る遺伝子群とは、逆方向に配置されているhik20が遺伝子発現に関与することが分かった。二成分系の一つのKdp系は光合成と深い関係があり、浸透圧調節を通じて、光合成生産物の蓄積および多糖形成との関連性が示唆された。
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