研究課題/領域番号 |
24658105
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桑原 重文 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30170145)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | nigricanoside / topsentolide / oxylipin / 細胞毒性 / amphidinolide |
研究概要 |
渦鞭毛藻が生産する26員環マクロライドであるamphidinolide Nおよび稀少海洋性緑藻から得られたnigricanoside Aについて,合成化学の立場からそれらの立体化学の決定を目指す研究を開始した。ところが,極最近,amphidinolide Nの構造改訂と相対立体化学の決定が報告されたため(Kobayashi, J. Antibiot. 2013),amphidinolide Nの立体化学の決定という当初の目標を変更し,提唱された立体化学の検証と絶対立体配置の決定を目指して全合成計画を練り直し,既に検討していた方法論を一部採用した合成計画を立案している。一方,nigricanoside Aの立体化学の決定については,nigricanoside Aを構成する2つのトリヒドロキシ不飽和脂肪酸鎖(α-鎖とβ-鎖)およびガラクトシルグリセロール部位の調製を完了しており,それぞれのフラグメントを連結することによりnigricanoside Aの立体異性体の1つを合成すべく研究を重ねている。現在までの所,α-鎖アルコール体とβ-鎖アリルエポキシ体とをルイス酸を用いて連結する研究計画時点の手法の検討を重ねるとともに,それと平行して,α-鎖前駆体とβ-鎖前駆体とをエステル結合で一時的に連結し,α-鎖のヒドロキシ基によるβ-鎖のエポキシ環の分子内開環反応を用いて,両鎖をエーテル結合により連結する方法論の開発も行なっている。また,本研究課題で立体化学決定法としての有効性を実証したいと考えている立体増殖的合成戦略を用いて,β-鎖前駆体から海産細胞毒性物質topsentolide C2の合成を完了するとともに立体化学決定を進めており,ほぼ研究に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
nigricanoside Aの立体異性体の1つの合成を完了する予定であったが,α-鎖とβ-鎖の連結が当初の計画の方法では一進一退の状況にある。現在,分子間反応を分子内反応に置き換えることによって,打開策を探っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究に携わる院生を増員して,分子内反応によるα-鎖とβ-鎖の連結を推し進める。連結体と既に調製しているガラクトシルグリセロール部位との結合は既知の方法論を用いること,本課題で提唱する立体増殖的合成戦略による立体化学決定は類縁物質topsentolide C2の立体化学決定により有効であることが明らかとなっていることから,その後の研究は急速に進展するものと考えている。amphidonolide Nの全合成については,本研究計画の戦略を一部取り入れた合成ルートを既に立案しているので早急に取りかかりたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額と合わせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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