研究概要 |
根寄生植物ストライガを材料に、ストライゴラクトン(SL)を生産しているかどうか検討した。ライゾトロンで栽培したイネのシオカリ野生型(WT)、SL応答変異体(d3, d14)およびSL生合成変異体(d10, d27)の根系にストライガを寄生させ生育を調査した。ストライガはWTおよび全ての変異体に寄生したが、大半の個体は茎長が5 cmに達する以前に伸長を停止し茎頂が黒化した。主茎の伸長が停止すると複数の側芽の伸長が見られる場合もあったが短期間で停止した。これらの個体の形態を、宿主と関連付けることはできなかった。このうち、二つの変異体(d14, d27)に寄生した個体は茎長が約15 cmに達するまで生育した。d14に寄生したストライガ個体では葉身が正常に発達し、葉身長は最大で2.6 cmに達した。一方、d27に寄生したストライガ個体では、葉身長が0.5 cmに達する前に葉身の発達が止まり、葉先から黒化した。両個体の茎長は同程度であったが、地上部新鮮重はd14に寄生したものが1.5 g、d27に寄生したものは0.28 gと約5倍の差が見られた。両個体を分析したが、いずれもSLは検出限界以下であった。 一方、ショ糖濃度2%、寒天濃度1%のGM培地にGR24を0, 1, 10 ppmの濃度で加え、宿主に寄生することなく独立して生育するストライガ植物体の生育を調査した。各濃度の培地からランダムに100個体を回収し生育を観察した。枝分かれが見られた個体数はそれぞれ100個体中19, 9, 15個体であり、GR24の有無で明確な差は確認できなかった。しかし、茎長はそれぞれ4.7, 3.9, 4.0 cmとなり、GR24を加えない培地で有意に茎長が長くなった。 以上の結果より、ストライガは自らの形態を制御するのに十分なSLを生産しておらず、宿主からの供給に依存していることが示唆された。
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