研究課題/領域番号 |
24658113
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金子 純一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90333624)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 食品安全 / 放射性物質 / 放射線検出器 / スクリーニング検出器 / 137Cs / γ線計測 |
研究概要 |
福島第一原子力発電所事故で発生した放射性物質のプラント外への大量放出によって、食品の放射能汚染が発生した。これに対して各種比放射能測定装置、スクリーニング装置が開発され、一般的な流通経路にのる食品に対しては安全が確保されるようになった。一方、福島県内に住まれている方や小さなお子さんをお持ちの家庭では自分で採った農作物や実際に口にするものを直接自分の手で確かめたいニーズが存在する。このニーズに答えるために本研究では大面積GM計数管によるスクリーニング検出器の提案を行った。提案時点では一般食料品の暫定基準値が500Bq/kgであったが、その後の改定でより厳しい100Bq/kgの基準が設けられた。これにGM計数管方式では対応することが不可能との結果となったことから、他の計測方式に切り替え、シミュレーションおよび実験によってスクリーニング検出器としての成立性を検証した。現段階では特許出願前であるため詳細は述べられないが、相対的に安価な検出器であっても1時間程度の測定時間を使えば、JISで求められているスクリーニング検出器の仕様を満たすことが出来ることを確認し、今年度の目標を達成した。家庭用で使用する検出器については実際の食品に含まれる比放射能はそれほど高くない場合がほとんどであることから、おおむね15分程度の測定でスクリーニングレベルである100Bq/kg以下であることを99%の確度で保証できるめどを得た。次年度はこの結果に基づき、プロトタイプの製作を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算申請後、暫定基準値からより厳しい100Bq/kgの比放射能に基準が変わった。測定方式を変えることで家庭で購入可能な10万円程度の実売価格となるような構成の検出器であってもスクリーニングレベルを達成できる事をシミュレーションならびに実験によって実証したから。
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今後の研究の推進方策 |
評価方法の適用範囲をさらに明確にし、プロトタイプ検出器の試作を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度に未使用額337,541円が発生したが、これは3月中に納入されたプロトタイプ検出器製作用3Dプリンター等の予算処理が間に合わなかったためのものであることから、すでに執行済みである。H25年度予算はプロトタイプ検出器の試作費用を中心に使用する予定。
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