食事誘導性肥満において、脂肪組織やさまざまな臓器で慢性的な炎症が生じることが知られている。食事摂取後のリンパ管には脂質だけでなく、様々な食事由来抗原が流入する。さらには粘膜やリンパ節では外来抗原に応答して分泌される物質の放出が起こると考えられる。腸間膜リンパ節はこの経路上に存在し、抗原に曝される。脂質摂取により濃度が大きく変動する脂肪酸や胆汁酸は腸間膜リンパ節に存在する免疫応答に関わると考えられる。昨年度までに、リンパカニュレーションを用いた脂質吸収実験において、脂質の吸収に伴いリンパ液でのglucagon-like peptide-1だけでなくinterleukin-6 (IL-6)の濃度が一過性に上昇にすることを見出している。そこで、このIL-6の由来を探るため、絶食および再給餌2時間後の、消化管粘膜におけるIL-6濃度の変化を解析した。Wistar-ST系雄性ラット(7週齢)を6日間馴化し、一晩絶食後にそのまま、または脂質20%食(2 g)摂取3時間後に解剖した。解剖時、十二指腸、空腸、回腸をそれぞれ回収し、粘膜を剥離回収した。また上部および、下部小腸パイエル板を回収した。各組織からタンパク質抽出後、ELISAを用いて抽出液中のIL-6濃度を測定した。その結果、脂質食再給餌後に空腸、回腸粘膜でのIL-6濃度が有意に増加した。脂質の吸収に伴いIL-6保有細胞の粘膜への遊走が生じた可能性が示唆される。
|