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2012 年度 実施状況報告書

生理状態による味覚感受性変化の分子機構の解明―なぜ、空腹だとおいしく感じるのか?

研究課題

研究課題/領域番号 24658115
研究機関東京大学

研究代表者

岡田 晋治  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50376563)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード味覚 / 栄養
研究概要

われわれの味覚は摂食・栄養状態によって変化する。この生理現象については、近年のいくつかの研究報告によって、摂食行動の制御に働くホルモン・低分子のいくつかが、味受容細胞に直接作用して、味覚感受性を修飾・変化させていることが明らかになってきたが、不詳な点が多く残っている。本申請研究では、①これらの研究で示された他に摂食・栄養状態のシグナルとして味覚感受性を変化させる因子があるのか、さらには、②味受容細胞内では、どのような分子機構で味覚受容システムが修飾され、味覚感受性が変化するのか、について解明することを最終目標としたものである。
本年度はまず、絶食・摂食による味覚感受性変化の解析を行った。リッキング法 (Brief Access Test) によって味覚感受性変化を解析する条件の検討を行った。絶食と摂食という2つの状態間でリッキング法によって評価する方法は前例がなく、様々な条件を検討し、条件を決定した。決定した条件を用いて基本味を呈する溶液に対する嗜好性変化を解析したところ、一部の味溶液に対する嗜好性が変化することを示唆する結果を得た。一方、味受容細胞に作用し、その細胞応答強度を修飾すると報告されているインスリンの味覚感受性変化への寄与を明らかにするために、db/dbマウスについても絶食・摂食状態で味覚感受性変化の解析を試みた。しかし、db/dbマウスではリッキング法の最適条件を確立することが出来ず、各個体によって最大リック数が大きくバラつき、その味覚感受性変化を明らかにすることが出来なかった。リッキング法などの行動生理学的解析は困難であり、他の解析手法が必要であると想定された。
味覚感受性変化に相関する遺伝子発現変化を明らかにするためトランスクリプトーム解析を行なっている。本年度はRNA抽出およびターゲットRNA調製の条件検討を行い、条件を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

味覚感受性変化解析およびトランスクリプトーム解析における条件検討に時間を費やした。

今後の研究の推進方策

トランスクリプトーム解析を早期に行い、その解析結果を元に遺伝子発現変化の組織化学的解析を実施する。味覚感受性変化に関わる候補遺伝子の欠損マウスが入手可能な場合は、これを生体レベルでの検証を行う。

次年度の研究費の使用計画

交付申請時の計画と同様に使用する。繰越分は消耗品に使用する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Transgenic labeling of higher-order neuronal circuits linked to phospholipase C-beta2-expressing taste bud cells in medaka fish2013

    • 著者名/発表者名
      Ieki, T., Okada, S., Aihara, Y., Ohmoto, M., Abe, K., Yasuoka, A., and Misaka, T.
    • 雑誌名

      J. Comp. Neurol.

      巻: 521 ページ: 1781-1802

    • DOI

      10.1002/cne.23256

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential expression analysis throughout the weaning period in the mouse cerebral cortex.2013

    • 著者名/発表者名
      前田尚廣
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 431 ページ: 437-443

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2012.12.150.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of a new IgE-binding epitope of peanut oleosin that cross-reacts with buckwheat.2012

    • 著者名/発表者名
      小林彰子
    • 雑誌名

      Biosci. Biotechnol. Biochem.

      巻: 76 ページ: 1182-1188

    • DOI

      10.1271/bbb.120063

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 亜鉛欠乏と味覚障害・食行動異常2012

    • 著者名/発表者名
      岡田晋治
    • 雑誌名

      生物の科学 遺伝

      巻: 66 ページ: 643-648

  • [学会発表] 短期亜鉛欠乏におけるラットの味嗜好性変化の解析2013

    • 著者名/発表者名
      山本遼
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20130324-20130328
  • [学会発表] 食餌性鉄欠乏ラットにおける味嗜好性の変化2013

    • 著者名/発表者名
      幸田理恵
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20130324-20130328
  • [学会発表] Taste system in fish.2012

    • 著者名/発表者名
      阿部啓子
    • 学会等名
      XVI International Symposium on Olfaction and Taste (ISOT 2012)
    • 発表場所
      Stockholm, Sweden
    • 年月日
      20120623-20120627
    • 招待講演
  • [学会発表] Establishment of a new cell-based assay to measure the sweetness intensities of ligands including fluorescent substances.2012

    • 著者名/発表者名
      戸田安香
    • 学会等名
      XVI International Symposium on Olfaction and Taste (ISOT 2012)
    • 発表場所
      Stockholm, Sweden
    • 年月日
      20120623-20120627
  • [図書] 新・櫻井 総合食品事典2012

    • 著者名/発表者名
      岡田晋治
    • 総ページ数
      1183
    • 出版者
      同文書院
  • [図書] 食物と栄養学基礎シリーズ7 基礎栄養学2012

    • 著者名/発表者名
      岡田晋治
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      学文社
  • [備考] 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻生物機能開発化学研究室

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/biofunc/

  • [備考] 小型魚類メダカをモデルとした味の情報伝達・処理に関わる神経回路の標識

    • URL

      http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20130415-1.html

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公開日: 2014-07-24  

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