昨年度の研究で、過剰な免疫応答を負に制御する機能をもつ制御性B細胞の分化誘導、活性化を促進する食品成分を検索する実験条件を確定し、食品に含まれるフラボノイドであるケンフェロールおよびタマリキセチンにマウスIL-10産生制御性B細胞を増加させる働きがあることを見出した。ケンフェロールおよびタマリキセチンはマウスB細胞において、芳香族炭化水素受容体(Aryl hydrocarbon Receptor:AhR)のアンタゴニストとして働くことが明らかとなり、AhR遺伝子欠損マウスではIL-10産生制御性B細胞の存在比が高まっていたことから、両フラボノイドはAhRアンタゴニスト活性を介して制御性B細胞を増加させていることが示唆された。一方、AhRアンタゴニスト活性を有することが報告されているバイカレイン、ルテオリンは、高濃度ではB細胞に対して細胞毒性を示し、LPSで誘導されるB細胞のIL-10産生に対して抑制活性を示したが、この時B細胞の生細胞中のIL-10産生細胞の割合は高まっていた。これらの結果から、AhRアンタゴニスト活性を持つフラボノイドには制御性B細胞を誘導する機能があることが示唆された。 ケンフェロールのin vivoでの制御性B細胞誘導活性を検討するため、C57BL/6マウスに2週間、ケンフェロールを強制経口投与した。脾臓および腸間膜リンパ節におけるIL-10産生制御性B細胞の存在をフローサイトメトリーで解析したところ、ケンフェロール投与群では両組織で制御性B細胞が増加していることが明らかとなった。
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