研究課題/領域番号 |
24658118
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 久典 東京大学, 総括プロジェクト機構, 特任教授 (40211164)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | miRNA / アミノ酸 / グルコース / タンパク質栄養 / DNAマイクロアレイ |
研究概要 |
本研究の目的として、栄養条件によって変動するmiRNAの量を強制的に変化させた際に、候補標的遺伝子が実際に影響を受けるかを明らかにすることがある。まずその系を確立する目的で、本年は既にラット肝臓において栄養の変化、特に低タンパク質食の摂取に応答することを見出しているmiRNA203を標的として用いた。過剰発現、および過剰発現にノックダウンを組み合わせることをHepG2肝ガン由来細胞で行った。それぞれ、miCENCURY OXとmiRCURY LNAを用いた。過剰発現は効率よく行われ、それに伴い標的候補遺伝子であるHADHBとNaa50の発現は低下した。これらはDNAマイクロアレイにより栄養状態に応じた大きな変動が見出され、かつ定量性PCRで再現が見出されたことから選抜したものである。また両者の低下はmiRNA203の過剰発現によって回復した。このように栄養条件の制御下にあるmiRNAを操作することで、miRNAを介した標的遺伝子の制御を確認することが可能となった。一方、培養細胞の系において、アミノ酸欠乏の影響をまずmRNAレベルで解析するため、同じくHepG2細胞を用いてDNAマイクロアレイを行った。その結果、ロイシン欠乏に応答する遺伝子が、再現性良い変動を示していた。また、HepG2細胞およびL6細胞をグルコース欠乏で4時間、ないしロイシン欠乏で12時間処理を行った。RNAを調製し、バイオアナライザーによって正しくmiRNAが得られていることを確認した。これをmiRNAアレイ(GeneChip miRNA 2.0 Array)に供した。現在、Ingenuity Pathway Analysisを用いて、変動したmiRNAと標的候補遺伝子のmRNAとが逆向きの変動を示す組み合わせを取得すべく解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アミノ酸やグルコースの欠乏に応答するmiRNAについては現在結果の解析中であるが、翌年の計画に含めていたmiRNAのノックダウンや過剰発現について、系を確立することに成功した。特に、HepG2細胞において非常に効率よく行えることがわかったので、使用細胞を絞り込むことができたのは大きな成果と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
miRNAのアレイ解析結果について、標的の絞り込みなどを進める。また、顕著に量が変わったmiRNAに関しては、それらの変化の意義を探る目的で、特にmTORの活性化や脂肪酸合成酵素の遺伝子発現を指標として、ノックダウンや過剰発現の影響を詳細に解析する。また、ロイシン以外の必須アミノ酸の欠乏、低アミノ酸培地にアミノ酸を添加した場合、さらに低タンパク質食摂取時の血清アミノ酸組成を模倣した培地を用いて、影響を受けるmiRNAの解析を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|