母親・父親へのメチル化促進食による子世代の肝臓代謝遺伝子のエピゲノム制御

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24658120
• 研究機関: 京都府立大学
• 研究代表者: 亀井 康富 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70300829)
• キーワード: エピジェネティクス / メチル化 / インプリント / 肥満 / 脂肪肝 / 遺伝子発現

研究概要

MIAMI法（Oncogene 25: 3059-3064, 2006）により、メチル化促進飼料にて妊娠期～授乳期の母マウスを飼育して経胎盤的あるいは経母乳的にメチル基を与えた新生仔マウスの肝臓における、DNAメチル化と遺伝子発現の経時変化を網羅的に解析した。その結果、多くの遺伝子においてDNAメチル化の変動が観察された。また、交配前の雄マウスにメチル化促進飼料を与えた実験においては明らかな変化は認められなかった。
Peg1/Mestはインプリンティング遺伝子であり、父親由来のアレルのみ転写される。以前、我々はPeg1/Mestがマウスのadultの肥満した脂肪組織で高く発現することを見出した。我々はPeg1/Mestに加えてインプリンティング遺伝子の発現が肥満で変化するかどうか調べた。やせと肥満の脂肪組織において代表的なインプリンティング遺伝子の発現を調べたところ肥満脂肪組織でPeg1/MestおよびP57/Kip2の発現が増加することを見出した。しかしながら、他のインプリンティング遺伝子の顕著な増加した発現は観察されなかった。
C57BL/6J (B6)マウスは食事性誘導肥満になりやすく、PWKマウスは食事誘導導性の肥満になりにくい。これらのマウスをかけ合わせてF1をつくったところB6が父親のとき、F1は食事性誘導肥満になりやすいが、PWKが父親のときは、F1は食事性誘導肥満になりにくかった。つまり食事性誘導肥満は父性遺伝することがわかった。

研究成果

• [雑誌論文] PGC-1α-mediated branched-chain amino acid metabolism in the skeletal muscle. (2014)
  • 著者名/発表者名: Y. Hatazawa, M. Tadaishi, Y. Nagaike, A. Morita, Y. Ogawa, O. Ezaki, T. Takai-Igarashi, Y. Kitaura, Y. Shimomura, Y. Kamei*, S. Miura*
  • 雑誌名: PLOS ONE 巻: 9 ページ: e91006
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0091006.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Paternal allele influences high fat diet-induced obesity. (2014)
  • 著者名/発表者名: S. Morita, T. Horii, M. Kimura, Y. Arai, Y. Kamei, Y. Ogawa, I. Hatada.
  • 雑誌名: PLOS ONE 巻: 9 ページ: e85477
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0085477
  • 査読あり
• [雑誌論文] Analysis of DNA methylation change induced by Dnmt3b in mouse hepatocytes. (2013)
  • 著者名/発表者名: M. Takahashi, Y. Kamei*, T Ehara, X Yuan, T Suganami, T Takai-Igarashi, I Hatada, Y. Ogawa.
  • 雑誌名: Biochemical and Biophysical Research Communications 巻: 434 ページ: 873-8
  • DOI: 10.1016/j.bbrc.2013.04.041.
  • 査読あり
• [雑誌論文] FoxO1 Inhibits Skeletal Muscle Hypertrophy Through mTOR-independent Mechanisms. (2013)
  • 著者名/発表者名: R. A. Potter, A. D. DeLong, S. M. Smith, B. M. Erb, B. Renwand, Y. Kamei, Y. Ogawa, T. J. McLoughlin.
  • 雑誌名: Journal of Exercise Physiology 巻: 16 ページ: 32-50
  • 査読あり
• [雑誌論文] Downregulation of Pgc-1α expression by tea leaves and their by-products. (2013)
  • 著者名/発表者名: Shibuya E, Murakami M, Kondo M, Kamei Y, Tomonaga S, Matsui T, Funaba M.
  • 雑誌名: Cell Biochemistry and Function 巻: 32 ページ: 236-40
  • DOI: doi: 10.1002/cbf.3006
  • 査読あり
• [学会発表] 胎仔期、新生仔期の核内受容体リガンド投与が仔マウスの肥満表現型に及ぼす影響の解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤沙耶、生木裕也、畑澤幸乃、亀井康富
  • 学会等名: 日本農芸化学会関西支部第483回講演会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 20140201-20140201
• [学会発表] 生活習慣病とエピジェネティクス (2013)
  • 著者名/発表者名: 亀井康富
  • 学会等名: 京都大学農学研究科食品生物化学専攻 招待セミナー
  • 発表場所: 京都府宇治市
  • 年月日: 20131113-20131113
  • 招待講演
• [学会発表] 生活習慣病とエピジェネティクス (2013)
  • 著者名/発表者名: 亀井康富
  • 学会等名: 第１３回抗加齢医学の実際 日本抗加齢医学会シンポジウム
  • 発表場所: 東京都品川区
  • 年月日: 20130916-20130916
  • 招待講演
• [学会発表] 肝臓脂質代謝のエピジェネティクス制御 (2013)
  • 著者名/発表者名: 亀井康富
  • 学会等名: 第67回日本栄養・食糧学会
  • 発表場所: 愛知県名古屋市
  • 年月日: 20130526-20130526
  • 招待講演
• [備考] 京都府立大学生命環境科学研究科分子栄養学研究室
  • URL: http://nutrition.life.kpu.ac.jp/