研究概要 |
検体を水抽出した後、20の画分を得た。残渣をエタノール抽出した。 水抽出液、エタノール抽出液をそれぞれマウスに1週間投与した後、肺炎球菌を感染させた。水抽出液摂取群は、肺炎球菌感染後の生存率が50%となり、抽出液を投与しなかった対照群の30%と比較して、生存率改善効果が認められた。エタノール抽出液摂取による生存率改善効果は認められなかったので、経口摂取による効果が期待できる有効成分は、水抽出液に含まれていると考えられる。 マウス肺胞マクロファージ株(MH-S細胞)に対する、抽出成分の免疫賦活効果を検討したところ、水抽出液から分画して得られたいくつかの画分に、MH-S細胞に対して、 貪食能促進、TNF-α, IL-1βおよびIL-12産生誘導、TLR3およびMARCOの遺伝子発現亢進が認められた。 これらの結果から、本検体には、マクロファージの活性を増強する物質が含まれることが判明した。さらにこれらの活性が異なる画分に濃縮されていることから、複数の活性成分が存在すると考えられた。 ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞(A549細胞)を用いて、抽出画分によるインフルエンザウイルス増殖抑制効果を検討した。A549細胞に感染させたインフルエンザウイルスの増殖は、ある画分を添加することによって10分の1程度に低下した。いずれも抽出画分によるA549細胞への障害は認められなかった。これらの画分には、ウイルス増殖のいずれかの段階を抑制する物質が含まれている可能性がある。 各抽出液画分を肺炎球菌と直接接触させた後に培養したところ、ある抽出液は対照と比較して、肺炎球菌のコロニー出現数を有意に減少させた。直接肺炎球菌を阻害する物質が含まれていると考えられた。
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