本研究は、自然免疫応答を活性化する成分を糠床から探索することを目的として行った。糠床を水抽出後分画した画分と、水抽出後の残渣をエタノール抽出した画分を調整した。水抽出物をマウスに経口投与後、肺炎球菌を感染させると、マウスの生存率が30%から50%に改善された。一方、エタノール抽出物投与では、生存率の改善が見られなかった。 糠床の抽出物を細胞培養等に加える in vitro 実験を行ったところ、いくつかの画分に以下の活性を認めた:1) 肺胞マクロファージ貪食活性促進、2) TNF-α、IL-1 β および IL-12の産生誘導、3) TLR3 および MARCO の遺伝子発現促進、4) インフルエンザウイルスの増殖抑制、5) 肺炎球菌に対する直接障害。これらの結果から、糠床には、自然免疫を活性化し、あるいは細菌やウイルスを抑制する成分が含まれている可能性が示唆された。
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