研究課題/領域番号 |
24658128
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
成田 宏史 京都女子大学, 家政学部, 教授 (30155999)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 経口免疫寛容 / IgA免疫複合体 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
申請者らは,母乳中には食物アレルゲンが特異的IgAとの免疫複合体として存在していることを発見し,「母乳は本来食物アレルギー予防の天然の飲むワクチンである」との独創的仮説を立て,これまでにこれを支持する結果を蓄積してきた。本研究ではこの仮説の応用として,動物にアレルゲンとIgAとの免疫複合体を投与し,経口免疫寛容が誘導されるか否かを調べることにより,新たなドラッグデリバリーシステムの構築,アレルギー予防法・治療法の開発を目指している。 具体的には,様々な形態のアレルゲン・IgA免疫複合体を調製し,これをマウスに経口投与した後,血清中のアレルゲンに対するIgE産生能の低下から,経口免疫寛容の成立を検討する。また,このときのサイトカインレベルなどからそのメカニズムを明らかにする。 計画1. 予定通り,ヒト唾液から調製した天然のIgA免疫複合体をマウスに経口投与することにより,マウスに卵白タンパク質に対する経口免疫寛容を誘導できることを明らかにした。 計画2. 特異的モノクローナルIgAは作製できなかった。このため,既得の非特異的IgAに化学的に抗原を結合させた人工的IgA免疫複合体をマウスに経口投与することにした。 計画3. マウスの餌中の卵タンパク質含量を25%まで落とすと,これ以上で見られた経口免疫寛容の誘導が見られなくなることから,プロ・プレバイオティクス手法により,生体内のIgA免疫複合体を増やし,その効果を増強させる実験系を確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学に於ける職務(学科主任,研究科委員長)に予想以上に時間をとられたため。2013年度は学科主任を外れるため,研究に邁進する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は少し遅れ気味なので,当初予定をクリアするために密度を濃くして研究に邁進する。このため,時間のかかる抗原特異的モノクローナルIgAの作製を中止して,IgA免疫複合体の応用(人工的複合体の投与実験)を先行する。 なお,海外のグループから,母マウスを経鼻的にオボアルブミンアレルギーにすると母乳中にオボアルブミンのIgG免疫複合体が分泌されるとの報告が出されている。当研究室には既得のオボムコイド特異的モノクローナルIgGがあるので,これを用いた経口免疫寛容誘導実験を行い,上記の代替として免疫複合体のアレルギー予防・治療への応用範囲の拡大に繋げたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
下記の通り,経費支出に大きな変更はない。繰り越し分に関しては,遅れを取り戻すために研究を濃縮して使用する。 研究遂行に必要な分析機器などの研究設備は既にすべて整っており,消耗品費・アルバイト学生のための人件費などが必要である。消耗品費は主に動物およびその餌,食物アレルゲン及び免疫複合体定量のための特定原材料表示用消費者庁認定通知法アレルゲン定量ELISAキット,サイトカイン定量キットの購入,モノクローナル抗体作製のための細胞培養費などに使用する。
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