研究課題/領域番号 |
24658132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
練 春蘭 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40376695)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 菌根菌ネットワー / 防御応答 / ストレス / 応答シグナル / 菌根菌共生系 |
研究概要 |
本研究課題は、ストレスに対する植物の防御応答シグナルが菌根菌ネットワーク(common mycorrhizal networks,CMN)を介して伝達されるかどうかを明かにするため、平成24年度に、主に以下の研究を行った。 1.菌根菌で繋がったアカマツの構築方法の検討: 25×20㎝(直径×高さ)のポットの間中に61μmのstainless steel meshで覆った600ml (高さ:14㎝)プラスチックカップを置き、プラスチックカップとポットの隙間にそれぞれ滅菌した土(ピートモス:土=1:1)を入れ、プラスチックカップに滅菌したアカマツ種を播いた。播種して2カ月後、カップとポットの隙間に外生菌根菌Pisolithus tinctoriusとCenococcum geophilumそれぞれに、感染したアカマツ苗を植えた。さらに2か月後、カップに生育しているアカマツ苗がP. tinctoriusとC. geophilumに感染されたことを確認した。 2.アカマツ葉のsalicylic acid (SA)、jasmonic acid (JA)とaethylene (ET)含量の測定法の確立: P. tinctoriusとC. geophilumに感染した6カ月のアカマツに、それぞれ、Cu(0、100、500、1000 mg/kg)とNaCl(0、50、100 mM)を処理した結果、それぞれの処理でアカマツ葉のSA、JAとET含量の差が見られなかった。今後、測定方法を再検討し、アカマツ葉のSA、JAとET含量を測定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度は、主に植物個体が菌根菌で繋がったシステムの構築方法と植物個体内のSA、JAとET含量の測定方法を検討する計画であった。これらの研究について、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今まで、樹木アカマツを使って、菌根菌で繋がったシステムを構築したが、これはかなり期間(4カ月間)がかかった。実験処理の材料を多く作ることが難しかった。また、異なったストレス処理でアカマツ葉のSA、JAとET含量の差が見られなかったので、今後アカマツを用いてストレスに対する防御シグナルが、菌根菌ネットワークを経由して隣接する植物個体へ転送されるかどうかを検証するのは難しいと考えられる。今後、研究を順調に進めるため、生長が早いキュウリを用いて、より短期間において菌根菌で繋がったシステムを検討する。また、ストレスで誘導される防御タンパク質遺伝子発現も定量する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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