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2012 年度 実施状況報告書

人工林施業が表面流の時空間分布と侵食土砂の渓流内移動に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 24658135
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関三重大学

研究代表者

沼本 晋也  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60324555)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードヒノキ人工林 / 森林管理施業 / 表面流量 / 土壌侵食 / 土砂流出
研究概要

近年問題視されている人工林の手入れ不足からくる下層植生の衰退とそれにともなって引き起こされる土壌侵食および土砂流出について,実際の侵食や移動現象の実態を詳細に観測することが初年度の計画である.
本研究の中心として位置づけている調査候補地のプロットは,三重大学平倉演習林内の高密度ヒノキ人工林における既設調査区を継続利用する計画であった.しかし平成23年に紀伊半島に広く被害をもたらした台風12号の影響で,平倉演習林も1200mmを超える記録的な積算雨量を観測し,管理棟,自動車道および作業道に少なからぬ被害を受け,また,森林斜面でも大規模地すべり,土砂ダム,表層崩壊および土石流などが発生する事態となった.当該プロットでも既設部分が大きく損傷したり機器が流失するなどの被害を受け,高強度の表面流出と土壌侵食の痕跡が確認される結果となったが,観測プロットそのものについて再考せざるを得ない状況となった.
三重大学平倉演習林内で既存調査が行われている7林班ぬたの谷流域(30.1 ha)および周辺斜面を計画していたが,土壌侵食・土砂流出の要因となる降雨時の表面流発生について,そのうちぬたの谷内に位置する,わさび谷小流域の斜面を利用し観測を実施した.ここでは特に侵食現象を直接的に引き起こす表面流発生に関連する森林斜面表層付近を流れる速い流出成分の観測を開始した.ここで着目したのが流出量ピークと温度変化タイミングである.当初,林外雨水温度(気温),渓流水温,湧水温の関係を整理していたが,続いて土壌水分と深度別地温変化についても観測体制を整えた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究の本体となる現地観測体制が,台風12号被害からの復旧遅れ,調査プロット設定以前に調査適地の再検討に時間を要した点などから,当初の観測体制を整えて主要な基礎項目の観測を開始するという点で遅れを生じている.一方で,台風被害を受けた森林斜面の周辺小流域で,本研究の計画上観測しておかなければならない表面流出,表層付近を流れる速い流出成分の観測についてはいくつかの降雨イベント(高強度)においてデータを回収し整理することができた.

今後の研究の推進方策

研究の本体となる現地観測体制を,台風12号被害を受けた調査プロットの復旧,設定を行い,当初の観測体制を整えて主要な基礎項目,特に土壌侵食・土砂流出項目の観測を開始することが最優先と考える.一方の,周辺小流域で開始した,表面流出および表層付近を流れる速い流出成分の観測についてはいくつかの降雨イベントだけでなく,高強度かつ連続雨量の多いイベントにおいてもデータを回収し整理することを目標とする.表層付近の水移動に関してはひきつづき温度変化に着目した手法の開発と現地への適用を考える.また,間伐等の森林施業そのものの影響や作業道など施業に関連する事項についても,当該プロットを含む林小班ごとの毎木調査や施業履歴など資料を用いた調査取りまとめを行う.

次年度の研究費の使用計画

台風被害の影響および復旧の遅れから未設置となっている各種観測機器の購入が主となる計画である.特に水循環関係(林外/林内雨,樹幹流,表面流,土壌水分,渓流流出量等)にそれぞれセンサ群・ロガーが必要となる.また,表面付近で発生する現象を明らかにするため,高解像度の映像機材を導入する計画である.当該研究サイト以外の人工林や既往研究サイトの訪問,研究情報収集および発表等に旅費を使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 平成 23年台風 12号により三重県大台町で発生 した深層崩壊と土砂移動2012

    • 著者名/発表者名
      沼本晋也,武澤永純,伊藤英男,松岡暁,林拙郎
    • 学会等名
      砂防学会研究発表会
    • 発表場所
      高知市
    • 年月日
      20120523-20120524

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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