研究課題/領域番号 |
24658141
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
深山 貴文 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (40353875)
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研究分担者 |
小南 裕志 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (70353688)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イソプレン / コナラ / BVOC / フラックス / 都市近郊林 |
研究概要 |
イソプレンは非常に反応性の高い揮発性炭素化合物であり、日本国内ではコナラやミズナラ等の葉面から大量に放出されていることが知られている。しかしその野外観測例は少なく、特に現段階では夜間のイソプレン放出特性についてはほとんど解明されていないことから、本研究では夜間も含めてイソプレン放出量を多点で連続観測できる自動観測システムの開発を行うこととした。さらに、イソプレンは森林起源の大気のトレーサーとして利用できる可能性が高いことから、葉面から森林周辺域へのイソプレンの拡散過程を評価できる多点観測システムの開発も行うこととした。本年度はプログラマブルコントローラーと空圧機器を利用して多点自動葉群チャンバーを製作し、複数樹種や陽樹冠と陰樹冠で夜間の葉面イソプレン放出量の試験観測を行った。観測の結果、夜間にも樹冠上部と下部で同時にイソプレンが放出されていることを確認した。また、夜間の放出量は日没直後に特に樹冠上部で高く、この時間帯以外の夜間放出量も常に樹冠上部の方が下部より高いことを明らかにした。一方、コナラ、ミズナラ、ナラガシワの夜間イソプレン放出量の種間差は小さかった。夜間放出量の変動要因を検討した結果、温度への依存性が高いこと、水ストレスによる影響を受けやすいことなどが示唆されたことから、今後これらに注目していくことが重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた自動多点連続観測システムの開発に成功したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在の自動イソプレンフラックス多点連続観測システムに改良を加えて干渉成分の影響を考慮しつつ、さらに詳細なフラックスの変動特性の評価を進める。さらに、大気採取システムを改良して広域的な多点観測を実現し、森林からのイソプレンの拡散過程を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度分析できなかった一部サンプルについて、本年度分に含めて質量分析計を用いた分析を実施する。
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