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2012 年度 実施状況報告書

分布北限域の絞め殺しイチジク集団は送粉共生を維持しているか

研究課題

研究課題/領域番号 24658142
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

大谷 達也  独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (80353613)

研究分担者 金谷 整一  独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (90353648)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードアコウ / 分布辺縁部 / 四国南部 / マイクロサテライト
研究概要

室戸・足摺の両地域とも天然記念物や国立公園の規制がかかっているため、年度当初には関係諸機関から調査許可を得るのに時間がかかってしまったが、6月以降、予定どおりに両地域での調査を開始することができた。両地域に生育するそれぞれ80個体強について、3週間ごとに結実と展葉の状況を観察した。その結果、物理的・遺伝的に個体群がより隔離されていると予想される室戸岬では冬期に結実する個体が足摺岬に比べて少ないとともに、室戸岬では夏期において成熟途中の果嚢が落ちてしまうことが頻繁に観察された。未成熟果嚢の落果はコバチによる花粉の媒介および受粉がおこなわれなかったためによるアボーションであると考えられた。これまでにアコウの個体数が十分にある屋久島でおこなった事例では、冬期に大量に結実しコバチを養うことのできるアコウ個体の存在が、アコウとコバチの送粉共生を支えるために重要であると示唆されている。室戸岬で観察された現象により、冬期にコバチの個体数が大きく減少し、その後の送粉が十分におこなわれていないと予想される。
観察対象個体からは葉サンプルを採取しDNAを抽出した。現在、マイクロサテライトマーカーを使って遺伝子型の解析をすすめている。また、観察対象個体が成熟果嚢をつけている場合には数個を採取し、果嚢あたりの種子と虫こぶを数え、取り出した種子を使って発芽試験をおこなった。残念ながらいまだ報告に足るだけのサンプル数は得られていない。今後、室戸・足摺での観察の継続、四国・九州内のアコウ個体群の遺伝構造の解析、種子生産数・発芽率といった繁殖効率の評価をおこなうことによって、分布の辺縁地域において植物集団の遺伝的多様性が低下し送粉共生が維持されない場合があることを、遺伝的な解析と生態現象の観察から実証したいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

室戸岬では未成熟果嚢の落果(アボーション)が非常に多いという、当初には予想していなかったこともあったが、研究そのものは順調にすすんでいると考えている。室戸・足摺ともにさまざまな規制がかかっているために関係諸機関から調査許可を得るのにやや時間を要したが、それも次年度以降は問題にならない。全体として順調と判断できる。

今後の研究の推進方策

おおむね予定どおりの研究進展であるので、次年度以降も当初の計画どおりにすすめていきたい。室戸・足摺での観察の継続、四国・九州内の各アコウ個体群のサンプリングおよび遺伝型決定、および発芽率など繁殖効率の評価をつづけていく。ただし、当初は想定していなかったアボーションが頻繁に起こることがわかってきたので、コバチの個体数の年間変動、コバチの飛翔距離の評価についてデータを得られるように準備をすすめておきたい。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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