研究課題/領域番号 |
24658147
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
岡部 貴美子 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, チーム長 (20353625)
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研究分担者 |
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
神崎 菜摘 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70435585)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 大発生 / 共生生物 / ナラ枯れ |
研究概要 |
長野県北部のカシノナガキクイムシ被害地および茨城県の未被害林分で調査を行った。その結果、当年度被害林分の被害木、昨年度以前の被害地の被害木、未被害地の枯死木のいずれにおいても捕食性、菌食性、腐食性のダニが認められた。いずれもキクイムシ類との共生が知られる種ではなく、自由生活性と考えられた。ダニの種数の大きな差は認められなかったが種構成は変化し、枯死木の分解が進むにつれて腐食性種が優占した。カシナガ被害材を網室等で保持すると、地域や被害履歴にかかわらず羽化時期に特定の2種のダニが得られることがわかった。これらのダニのうち1種は菌食および腐食性であるが、もう1種の食性を含む生態は不明である。激害地および微害地におけるカシノナガキクイムシの随伴するRaffaelea quercivoraの有無と頻度を検出するために、R. quercivora特異的なプライマーとプローブを開発した。予備的にプライマーとプローブの精度を確認し、十分に利用可能であることが明らかとなった。カシノナガキクイムシ他、養菌性キクイムシ類の便乗、寄生線虫相の調査を行った結果、養菌性キクイムシの多くは、Bursaphelenchus 属、Ruehmaphelenchus 属の糸状菌食性線虫を高い確率で保持していること、この中でも、Ruehmaphelenchus 属は養菌性キクイムシ特異的に検出されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カシノナガキクイムシ激害、被害終息、未発生の林分で枯死木等に生息する、カシノナガキクイムシ共生生物または共生の可能性のある生物を調べ、多様性の度合いを比較するという目標に対して、激害地、終息地(長野県)、未発生地(茨城県)で調査を行い、共生生物の多様性に著しい差異がないことを明らかにしたことから、計画通り達成している。
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今後の研究の推進方策 |
カシノナガキクイムシ被害程度の異なる林分で天敵生物の探索を行う。天敵としての効果を定量化して、大発生が共生生物や天敵の多様性に関連する可能性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究申請時の計画通り、使用予定である。
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