研究課題/領域番号 |
24658149
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
山中 高史 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, チーム長 (00343799)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 菌根菌 / アンモニウム |
研究概要 |
セシウム吸収への菌根菌の影響を評価するための実験系を確立するため、ワカフサタケ属菌8菌株を用いて、予備的にコナラ苗への接種試験を行った。その結果、菌根はほとんどの菌株で形成されたが、その形成量は菌株によって異なった。また、土壌中の窒素濃度を変えて菌根形成への影響を観察すると、用いた濃度の範囲では、高濃度で窒素を含む場合、菌根の形成は良好であった。次に、セシウム吸収にアンモニウムイオンが影響を及ぼす可能性があることから、これら菌の栄養菌糸成長へのアンモニウム態窒素添加の影響を調べた。アンモニウム態窒素として塩化アンモニウムを用い、それぞれ1、10、100または1000 mMの濃度で加えた培地において菌を培養した。この時、培養に伴う培地の水素イオン濃度(pH)の変化を抑えるために、緩衝剤として、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)を50mMの濃度で添加し、培地pH値は5.0に調整した。その結果、アカヒダワカフサタケおよびナガエノスギタケは、塩化アンモニウムを10または100mMで含む場合に良好に成長したが、それ以外の菌については、1mMにおいても良好に成長した。同じく、硝酸態窒素の影響を調べたところ、成長に最適な濃度は、いずれの菌についても10または100mMにあった。 野外土壌で育てるため、ウラムラサキ、コツブタケ、ツチグリおよびニセショウロをコナラに接種して菌根感染苗を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ワカフサタケ属菌の成長に適したアンモニア窒素濃度は確定でき、また接種試験に適した菌株は選抜でき当初の予定通りに進捗した。コナラ感染苗を汚染土壌へ植栽することができなかったが、これは菌根菌を接種したにも関わらず菌根形成させることができなかったためであり、現在再度接種するための準備を行っており、次年度の早い時期に汚染土壌に接種する。
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今後の研究の推進方策 |
野外植栽に必要な本数の菌根感染苗を作成出来ず、そのため、コナラ感染苗を汚染土壌へ植栽することができなかった。そのため、再度、菌根菌を接種した上で汚染土壌に植栽する。またこのとき、アンモニアやカリウム添加の影響も併せて調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費は、菌根菌の再接種とその後の、菌根菌感染苗木の管理の補助のために支出する。 菌根菌の培養、分析用試薬のかかる経費として消耗品費を支出する。
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