研究課題/領域番号 |
24658153
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鮫島 正浩 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30162530)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 木質バイオマス / 林学 / 森林 / シミュレーション工学 / 再生可能エネルギー / 木材 / バイオマス発電 |
研究概要 |
持続的な森林経営と木質バイオマス利用を定量的に結びつけたシステムの最適化を目的に、本研究では、森林から木質バイオマス利用に至る過程について、持続性、経済性、環境適合性という3つの観点から関連する諸因子を数値データとして取得し、これを利用したLCA解析に基づき、我が国における木質バイオマス利用に関する最適システムモデルの構築を行うこととした。 当初、森林から木質バイオマス利用に至る過程を要素単位として、それぞれについてのエネルギー収支、二酸化炭素収支、経済収支をデータとして取得することを考えたが、この作業はあまりにも膨大であることが調査ならびに各専門家との研究討議の中で明らかとなった。そこで、木質バイオマス利用として製材品生産、熱エネルギー生産ならびに発電の3つの出口を想定し、これらを単独あるいは複数組み合わせた木質バイオマスの加工拠点を中心に据えたモデルの構築を行った。また、これに対して森林から生産拠点までの距離ならびに必要とされる木質バイオマス量と生産拠点の規模の関係について明らかにした。また、モデル設計を行うため、木質バイオマス利用の先端国であるフィンランドならびにオーストリアに調査を行った。さらに、国内の木質バイオマス利用現場についても調査を行った。また、その過程で関連研究者によるワーキンググループを形成し、必要なデータ収集ならびに解析方法の確立のための基盤作りを行った。 今後、これらのデータを考案した各モデルに導入し、木質バイオマス利用のエネルギー収支、二酸化炭素収支、経済収支の全体的な定量評価を行うことを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の調査結果に基づき、木質バイオマス利用として製材品生産、熱エネルギー生産ならびに発電の3つの出口を想定し、これらを単独あるいは複数組み合わせたモデルの構築を行ったことで、本研究で目的とする持続的な木質バイオマス利用の最適化に向けたモデル化を行うためのシステムフロー図を作成することができたことが本年度に達成した成果である。一方、各モデルに導入するためのデータについての取得が遅れていること、さらに昨年7月に木質バイオマス発電事業における固定買取制度が施行されたこと等により、本研究において木質バイオマスのエネルギー利用とマテリアル利用のバランスを考慮したモデル設計のための条件を大きく変更する必要性が生じた。そのため、本年度内に木質バイオマス利用のエネルギー収支、二酸化炭素収支、経済収支の全体的な定量評価を行うに至っていない。したがって、研究期間を1年間延長し、これらについては次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に構築した木質バイオマス利用として製材品生産、熱エネルギー生産ならびに発電の3つの出口を想定し、これらを単独あるいは複数組み合わせたモデルのシステムフローに調査結果により得られたデータを導入する。また、これに基づき木質バイオマスのエネルギー利用とマテリアル利用のバランスの最適化に向けて、エネルギー収支、二酸化炭素収支、経済収支の3つの観点から定量的な評価を行うことで本研究の目的の達成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に繰り越す予算181万7,835円については、作業補助のための人件費50万円、現場調査費50万円、資料情報調査費50万円、成果公表費等31万7,835円を充てたいと考えている。
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