β-O-4型人工リグニンオリゴマーを、成長しつつあるリグニンの鋳型(テンプレート)として作用させることにより、モノリグノールの脱水素重合の制御やリグニンの化学構造に及ぼす因子の解明を行うことを計画した。テンプレートとなるリグニンオリゴマーの合成では、少量ながら5量体までの合成を達成した。酸化銀を用いたシナピルアルコール(SA)の重合では、γ位にアセチル基を有するSAは、β-O-4構造が優先することが判明した。化学計算の結果、アセチル基によりラジカル同士のクーロン反発が抑制されるためにβ-O-4構造が優先することが示唆された。
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