白色腐朽菌を、リグニン分解酵素の生産条件で培養し、リグニン分解酵素活性と菌糸鞘の分布を組織化学的に解析した。培養後2-3日目に菌糸先端部にリグニン分解酵素反応がペルオキシダーゼ活性染色として認められ、培養3-4日目には菌糸鞘内部でもペルオキシダーゼ活性染色が認められた。ペルオキシダーゼ活性染色を生じた酵素がマンガンペルオキシダーゼ酵素であることを特定し、酵素タンパク質のN末端アミノ酸配列が、マンガンペルオキシダーゼ遺伝子配列と一致することを確認した。以上の結果より、白色腐朽菌の菌糸鞘内部ではマンガンペルオキシダーゼ酵素反応が生じており、リグニン分解バイオリアクターとして機能しうることを示した。
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