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2012 年度 実施状況報告書

アミン銅処理した木材中に存在する“銅”のナノスケール解析

研究課題

研究課題/領域番号 24658162
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

松永 浩史  独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (80391184)

研究分担者 波多 聡  九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60264107)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード木材保存 / 固着性 / 溶脱 / 超高分解能電子顕微鏡
研究概要

アミン銅処理された木材細胞壁(仮道管)内で生成した銅ナノ粒子が、結晶性を有するか否かを、高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)および球面収差補正付き走査透過電子顕微鏡(Cs-corrected HAADF-STEM)を用いて解析した。
スギ辺材の小試験片にアミン銅水溶液を減圧・加圧注入して、アミン銅処理材を作製した。この処理材の早材部から集束イオンビーム加工装置(FIB)を使ってマイクロサイズの微小立方体を削り出した。立方体はマイクロマニピュレーターによって摘出し、さらにFIBで早材仮道管の切片厚さが50nmになるまで薄切した。最後に、アルゴンイオンミリングを用いて仕上げ加工をおこない、最薄10nmの超薄切片を作製し、分析に供した。
高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)による解析の結果、ナノ粒子内に格子像が確認され、結晶であることが判明した。次に、これら格子像をフーリエ変換し、化学構造の同定を試みたところ、金属銅(0価)であることが分かった。以上のことから、アミン銅(2価)は木材細胞壁内で還元され、0価の金属銅ナノ粒子が生成することが明らかとなった。
続いて、単原子観察が可能な分解能を有する球面収差補正付き走査透過電子顕微鏡(Cs-corrected HAADF-STEM)を用いてナノスケールで可視化解析をおこなったところ、前述の金属銅ナノ粒子の近傍に、銅が単原子(イオン性)として存在している様子が確認された。
以上の結果から、アミン銅処理された木材細胞壁(仮道管)では、イオン性の単原子銅と金属銅ナノ粒子が共存することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標に設定した、①アミン銅処理された木材細胞壁中で生成された銅ナノ粒子の化学構造の解析、については、金属銅ナノ粒子であることが明らかとなり、②共存するイオン性銅をナノスケールで可視化、については、単原子銅の可視化に成功した。これらの成果は、最先端の超高分解能電子顕微鏡解析技術を駆使することにより解明出来たものであり、当初の目標通り、「細胞壁中における“銅”の全体像の把握」を達成した。

今後の研究の推進方策

アミン銅処理材を強制的に水で溶脱操作し、溶脱に伴って、①イオン性の銅のみ溶脱するのか、②銅ナノ粒子のみ溶脱するのか、あるいは③双方とも一様に溶脱するのか等を、高分解能走査透過電子顕微鏡を用いて明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

試験体の材料費・作製費、分析機器消耗品等の購入を予定している。研究代表者が、九州大学で分担者と共に、高分解能走査透過電子顕微鏡を用いる実験を遂行するための旅費、および研究打合せ等に係る旅費を予定している。
さらにデータの取りまとめ等のための非常勤職員の雇用費や、研究成果を学術雑誌、国内学会等で報告する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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