本研究は、東北大震災から気仙沼で生き残った近海マグロ延縄漁船団共同操業化による漁獲行動・漁獲量・水揚げ高等を分析することで、多様なリスクに対して強い漁業の形を見出すことを目的する。
そこで本研究ではプロセスを1) 共同操業の社会実装と2) 地域参画型研究創生の二つに分けてステークホルダー(漁業関係者)や地域社会との協同による実証・探索的地域参画型研究をおこなっている。平成26年度は「共同操業の社会実装」では共同操業データ分析、モデル拡張を意図し、さらに「地域参画型研究創生」では、ワークショップでの分析結果の提案をめざした。本研究では計12回の気仙沼市でのデータ収集のための調査をおこなうとともに、漁労者従事者、船主、関係者との研究結果の社会実装を目指したワークショップをおこなった。本年度、本研究が対象とする近海マグロ延縄漁船団は「がんばる漁業震災復興支援事業」として震災後の平成24年4月から始まった震災復興支援の最終年度を迎えた。しかしながら、震災後の市場消失などによる影響が強く復興は進んではない。本研究の成果は支援事業後の近海マグロ延縄漁船団の運営のための経営・運行計画へ柱を提示し社会実装を具体化しようとしている。
現在までにこうしたデータ収集・分析から1)操業位置情報の視覚化とパターン解析2)ベースモデル拡張によるベイズ意思決定分析の探求をおこなうとともに、これまでの共同操業の結果分析とともに、新たな復興戦略を提示することで社会実装を目指している。
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