アユの野生集団の保全単位の設定と、地域域適応および飼育適応について調べるため、海外も含む分布域全体から採集した野生集団と継代された人工種苗集団のDNA分析を行った。野生集団の分岐年代を求めたところ、アユと亜種リュウキュウアユ間で100万年、地域集団間で7万~15.1万年となり、アユの保全を図る上で重要な保全単位を提唱できた。また、飼育集団では、継代数が増加すれば遺伝的多様性は減少し、遺伝的分化は増大することが明瞭に示された。野生集団と飼育集団のゲノムスキャンを試みた結果、地域適応や飼育適応を示すシグナルを検出することはできなかったが、多くのDNAマーカーを使用することで検出可能と考えられた。
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