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2013 年度 実施状況報告書

クロダイをモデルとして分離浮遊卵の減耗を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 24658170
研究機関広島大学

研究代表者

海野 徹也  広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (70232890)

キーワード水産学 / クロダイ / 授精卵 / 発生段階 / 減耗 / 広島湾
研究概要

広島湾はクロダイの主要漁場として知られ、本種の卵密度は30~100粒/m3に達する。その一方で、ふ化直後の仔魚の密度は0.5個体/m3以下となる。このことから、ふ化までに約2日間しか要しない本種の浮遊卵が激しい減耗に直面していることが伺える。本研究の主な目的は、広島湾におけるクロダイの分離浮遊卵を実験モデルとして、これまで未知である沿岸性海産魚の分離浮遊卵の減耗過程を明らかにすることである。
平成24年度にはミトコンドリアDNA分析によって卵発育段階を推定する技術を確立した。25年度は授精卵のマイクロサテライトDNAマーカー分析を行い、アリル型判別時の蛍光強度で発育段階を推定する方法を検討した。その結果、マイクロサテライトDNAマーカーは受精後24時間以上経過した卵でないとアリル型が検出できないことが明らかになったものの、卵の遺伝的多様性が精査できることが判明した。
一方、フィールド調査はクロダイの産卵盛期に卵採集を24時連続で行い、発育段階から産卵時間を推定した。また、受精卵の発育段階の同定を顕微鏡観察およびミトコンドリアDNAの定量PCR法によって行った。その結果、両者の減耗率はほぼ一致した。さらに、卵の減耗を加味した卵数法による親魚数は1.2~2.4×107尾となった。今後は、母系遺伝するミトコンドリアDNAマーカーのハプロタイプやマイクロサテライトDNAマーカー解析を用いることでクロダイ親魚数を推定するのも一案である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

25度は、人工クロダイ親魚を用い、様々な発生段階の授精卵を得た。これらの貴重な材料を用いて、各発生段階の卵のDNA量を測定することでDNA量と発育段階の関係を明らかにした。マイクロサテライトDNAマーカーは発育段階を精査するための定量性に欠けていた。しかし、受精後24時間以降ならアリル型が判定できた。また、ミトコンドリアDNAは定量性に優れ、しかも発生初期の受精卵での応用が可能であった。さらに、目視観察による受精卵の減耗率と25年度に確立したミトコンドリアDNAによる定量法による受精卵の減耗率がほぼ一致したことは、本研究の成功を意味する。

今後の研究の推進方策

現在のところ、研究計画は概ね申請時通りであり、最終度以降も計画に従い研究を遂行する予定である。26年度は25年度の成果をもとに、受精卵の多い定点と少ない定点10定点で受精卵を採集する。25年度と同様の解析を行うと同時に,定点近くの沿岸で着底稚魚の採集を行う。水中ポンプにより受精卵を採集する。卵の採集は数万粒を予定し、そのうち10%(約1,000粒)を目安に発育段階を調べる。発育段階は定量的PCR法により推定する。
まとめとして,①25~26年度に採集した受精卵の発育段階毎の密度を明らかにし、減耗過程を明らかにする。②発生が進んだ卵(発眼卵など)の密度と仔稚魚の密度に関係かあるかを明らかにする。さらに、受精卵の遺伝的多様性をマイクロサテライトDNAマーカーによるアリル型で判定し、浮遊期卵の遺伝分散を考察する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 日本人の心の魚,クロダイ2013

    • 著者名/発表者名
      海野徹也
    • 雑誌名

      生物工学会誌

      巻: 91 ページ: 588-591

    • 査読あり
  • [学会発表] 広島湾におけるクロダイ卵の遺伝的多様性2013

    • 著者名/発表者名
      赤木拓峰、海野徹也
    • 学会等名
      日本水産学会中国・四国支部例会
    • 発表場所
      宇和島市総合福祉センター
    • 年月日
      20131116-20131116

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公開日: 2015-05-28  

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