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2012 年度 実施状況報告書

シオミズツボワムシのエピジェネティクスと実験動物としての確立

研究課題

研究課題/領域番号 24658174
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関長崎大学

研究代表者

萩原 篤志  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (50208419)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際情報交換(韓国) / 国際情報交換(米国) / 国際情報交換(スペイン)
研究概要

シオミズツボワムシでは、母ワムシのおかれた環境や加齢によって、次世代以降の両性生殖発現が変化する事例が報告されている。この遺伝様式として、エピジェネティックな遺伝と母系効果の2つが考えられる。ワムシの遺伝様式の検討には次世代への遺伝が確認されている両性生殖誘導因子を用いることが有効で、これを検討するには両性生殖誘導条件の最適化がまず必要となる。平成24年度では、過去に検討例がない、同一密度での他個体との共存効果(Grouping effect)を検討すると共に、母ワムシの加齢による両性生殖誘導への影響を複数世代で調べた。
培養水量とワムシ数を0.1, 1, 10 mLに各1個体、0.3, 3, 30 mLに各3個体、0.5, 5, 50 mLに各5個体に設定した(各々0.1, 1, 10個体/mLに相当)。また、母ワムシの加齢が次世代から第3世代までの両性生殖誘導に与える影響を個別培養で求めた。その結果、高密度下で両性生殖の発現が活発になり、他個体との共存の影響は見られなかった。また、若い親ほど高頻度で両性生殖雌を生じた。加齢が進んだ親から生じた子(単性生殖雌)は若い親から生じた子より多くの両性生殖雌を生じることが明らかになった。
メチル化DNA解析に必要な損傷の少ない高分子ゲノムDNAをワムシより精製するため、シリカメンブレンを用いたキット(シリカキット)、タンパク質沈殿剤によるキット(沈殿キット)、およびproteinase Kとフェノールを用いた方法(フェノール法)によりDNAを精製し、精製効率および純度を比較した。この結果、精製効率はフェノール法、純度はシリカキットとフェノール法が優れており、沈殿キットはワムシDNA精製には不適であった。25年度以降は、フェノール法とシリカキットで精製したDNAの制限酵素処理を行い、メチル化DNA解析を開始予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

親の獲得した表現型が単性生殖によって何世代子孫に伝播するか調べるための研究開始が予定より遅れていたが、先月より実験を開始し、結果が出始めている。メチル化DNA解析の準備段階も終えており、次年度の研究に繋げていく計画である。

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き、次の3つの課題に取り組む。
1)親の獲得した表現型が単性生殖によって何世代子孫に伝播するかを検討する。耐久卵から孵化した母ワムシ(幹母)に飢餓処理を施すと、次世代以降の子孫の両性生殖発現頻度が上昇する。この傾向が何世代続くか、個体別継代培養によって確認する。飢餓を与えた場合、子孫の飢餓耐性が高まることが知られていることから、これについても検討する。
2)親が獲得した表現型が両性生殖を経た次のクローン個体群内で何世代子孫に伝播するかを検討する。雄ワムシを生じる両性生殖雌に飢餓処理を施すことにより、質の異なる父ワムシを作出し、耐久卵を経由した受精卵からの孵化個体群の性状(両性生殖発現頻度、飢餓耐性)を求める。
3)ゲノムワイドなメチル化解析による表現型変化に関連するDNA領域の特定を行う。遺伝的に同一なワムシを異なる環境下で飼育して得られた表現型が異なるワムシを収穫し、各々のゲノムDNAを単離し、異なる表現型に関与する遺伝子群を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 動物プランクトンの分子生物学的研究成果の環境修復への展開2013

    • 著者名/発表者名
      菅向志朗,阪倉良孝,萩原篤志
    • 雑誌名

      海洋と生物

      巻: 35 ページ: 42-46

  • [学会発表] ワムシ類のハイブリッドとクローン2013

    • 著者名/発表者名
      萩原篤志
    • 学会等名
      平成25年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      20130326-20130330
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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