研究課題/領域番号 |
24658177
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
秋葉 龍郎 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (00221713)
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研究分担者 |
田中 祐志 東京海洋大学大学院, 海洋科学技術研究科, 准教授 (90207150)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ホログラフィー / 動物プランクトン / 沿岸生態系 / 近赤外 / 微粒子センサ |
研究概要 |
沿岸域での生態系の調査に必要なデジタルホログラフィーの開発を行っている。本研究ではセンサーにより動物プランクトンを検出し、検出信号をトリガーにして撮像するところに特徴がある。すなわちプランクトンネットで濃縮されていないプランクトンを光学的に効率よよくいかに検出するかという課題がある。レーザー式の光透過センサおよ発光ダイオードを利用した光散乱式のセンサをテストし、それぞれの性能の評価を行った。いずれも動物プランクトンを検出するのに十分な応答度を有していた。また画像をパソコンを使わず録画する録画方法を考案した。この方式では装置は小型化できるという利点がある。パソコンによる非圧縮保存方法と録画装置方式との画質を比較している。 次にプランクトンをホログラフィーに必要な光の横モード選択方法について実験的検討を行った。従来はスペイシャルフィルターをレンズと対物レンズで行う方法が採られている。しかし本研究では光源を浸漬するので光ファイバーによるスペイシャルフィルターとして振動に強い設計をを考案した。 また画像データベースのための実験室内ホログラフィー撮像装置について開発を行った。これは流水中のプランクトンを同時に多方向から撮影するもので、これにより様々な方向光からプランクトンの形状が異なる様子をデータベースとしてアーカイブすることができる。 本年度はセンサー、光源、録画とそれぞれ計測に必要な要素技術の開発をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、さまざまなセンサーをテストし、装置設計をすることができた。これから装置をくみ上げ試験に着手する。初年度にはどうのようにセンサーを利用するかがなかなか良い考えがうかばず、苦労した。特に非侵襲性(自然状態のプランクトンの空間分布をできるだけ乱さずに検出できるかどうかの程度)の高いセンサーが望ましいが、その場合、装置の小型化の要求との相克があり、なかなか方針が決まらなかった。結局小型化を優先し、装置を曳航して検出することとした。
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今後の研究の推進方策 |
現場試験の結果を基に改良を行う。特に高効率測定のために必要なセンサによる撮影同期技術の開発を行う。パイプ内撮影の場合には、プランクトン検知をトリガ信号として撮影を行うので、流速が一定でない場合であってもプランクトンの撮影するタイミングを逃さないようにするための流速適応撮像技術が必要となると考えられるのでこれを開発する。現段階ではセンサを複数化することを考えている。引き続きホログラフィー画像の画質改善を行うとともに、撮影した画像からプランクトン画像を再構築、自動検出などのアルゴリズムの開発を行う。パイプ内撮影の場合は、流速とパイプの抵抗が関係しパイプ中の水流に影響を及ぼすので、取水口形状と流速の関係を懸下法などを現場試験を行ったうえで調べ、装置の改良を行う。 垂直懸下および定置による測定を行うとともに、曳航試験を行う。水平方向および、鉛直方向の動物プランクトン群集の分布の測定を試みる。また設置試験も前年度に引き続き行う。IONESSやポンプ採集との比較を行い、その現場適用可能性を評価する。CTDやクロロフィル濃度、酸素濃度、照度などと環境測定と同時に動物プランクトン測定を行い、動物プランクトン群集の時間レベルでの変動の把握が可能か挑戦する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実際に海洋でプランクトンを撮像できる装置を開発する。 装置の開発に研究費のほとんどを費やす、特に水密筐体および機械設計に充当する。センサとカメラの撮像、並びに光源を同期させる電子回路を製作する。さらに 画像データベースを構築するために作業が必要となるので役務も行う。 また国際会議で発表を行う予定なので旅費も使用する。
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