研究実績の概要 |
どのプランクトンがどこにどれだけ存在したかという情報は海洋生態系研究にとって基礎的な重要な情報である。従来のようなネット採集ではどこにいたかという空間情報が失われがちであった。採集作業に労力を要するため、採集地点や時点数を多くすることが困難であった。またレンズを用いた撮影では撮影体積が小さかった。このような問題から現存量の空間分布や時間変動を測定することは困難であった。本研究では生態系における食物連鎖で重要なまた特に沿岸域において遍在性が高い1mm以下のサイズのプランクトンを対象とした。 水中でデジタルホログラフィー撮影が可能な技術を開発した。時空間情報を取得しつつ少なくとも目レベルまで識別が可能な画質で撮像する技術を開発した。1回の撮像で25ccの体積を撮像できる。長さ約1000mm,直径140mmのチタン製筐体に納め、バッテリー駆動で長期連続撮像が可能なシステムとした。レーザはシングルモード光ファイバーによる横モード選択を行い、振動に強い設計とした。照射光は生物の行動に影響を与えにくい近赤外領域の波長とした。撮影は ネットワーク出力のカメラで撮影し、筐体内のパソコンの記憶領域に保存される。センサー駆動モードと一定周波数で撮像が可能である。タイマーを内蔵しているので特定の時刻での特定の時間だけの動作が可能である。開発した撮影装置は、曳航、鉛直懸下、設置などの方法でも使用可能なものとした。 また、撮影した試料の検証のために、同時に水柱採水が可能な採水器を開発した。開発した採水器は海水試料の鉛直分解能を10cm以下とすることが可能である。動物プランクトンを自動採取するための技術も開発した。
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