近年カリブ海産のホヤTrididemnum solidumより見出された抗腫瘍性ペプチド、ジデムニンが世界各地で採集された海洋細菌Tistrella mobilisより相次いで発見された。しかしホヤにおける真の生産者や生合成に関する知見は皆無である。そこで、培養T.mobilis及びカリブ海産のT. solidumについて、化学的・生化学的な比較分析を行った。その結果、ホヤと細菌ではジデムニン類の生産パターンが異なり、また、ホヤには共生生物として大量のシアノバクテリアが含まれるがT.mobilisは極僅か検出されたのみであったことから、ホヤと細菌での生合成経路は異なっていることが示唆された。
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