茨城県におけるヤマトシジミの主要漁場である涸沼川下流域は潮汐の影響を強く受けるのに対し、涸沼では影響が少ない。汽水性無脊椎動物の環境塩分変化に対する遺伝子発現制御や代謝調節の機構解明のため、メタボロームおよびトランスクリプトーム解析を行った。満潮時および干潮時の涸沼川および涸沼からヤマトシジミ雌雄を採取し、解析した結果、β-アラニンやオルニチンなどの代謝産物量や代謝関連酵素をコードする遺伝子のmRNA蓄積量は塩分変化により変動することが明らかとなった。以上の結果から、ヤマトシジミは環境塩分の変化に対応して種々の代謝物質が変化し、その変化が遺伝子で制御されている可能性が示唆された。
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