研究課題/領域番号 |
24658184
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平田 孝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40273495)
|
研究分担者 |
菅原 達也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70378818)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | カロテノイド / 機能性成分 / 酵素分解 |
研究概要 |
水産物由来のカロテノイドがヒトにおける生理機能性成分として大きな注目を浴びている。カロテノイドの機能性発現機構として、遺伝子発現やシグナル伝達への影響が報告されているが、生体におけるカロテノイド分子の直接の作用点は全く不明である。水産カロテノイドの機能を広く安全に利用していくためには、本作用点の解明が喫緊の課題である。本研究では、最近発見されたβ-カロテン-9’,10’-モノオキシゲナーゼ(CMO2)が水産カロテノイドを分解し、その産物が各種核内レセプターのリガンドになり、遺伝子発現に影響を与えるという仮説をたて、それを証明することを目的とした。 本年度はCMO2の酵素源となる生体試料を探索した。マウスの肝臓ホモジネートおよびそのミトコンドリア画分からはCMO2活性を見出すことは出来なかった。そこで、リコンビナントタンパク質の作成を試みた。カイコ杯由来Ke17細胞に、バキュロウイルス由来発現ベクターを用いて遺伝子導入したところ、CMO2タンパク質の発現が確認できた。しかしながら発現量が微量であるため、活性を確認することができなかった。また、培養細胞株におけるCMO2発現をRT-PCR法によって調べたところ、結腸がん由来DLD-1細胞に発現していることを確認し、さらに過酸化水素処理により、約二倍に発現量が上昇することが分かった。その他の培養細胞株として、乳がん由来MDA-MB-231細胞でも比較的発現量が高いことを確認した。今後、これらの培養細胞およびリコンビナントタンパク質を用いて検討を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
β-カロテン-9’,10’-モノオキシゲナーゼ(CMO2)の調製源として、当初マウス肝臓ホモジネートを用いていた。しかし、調製は不首尾に終わり、調製源を変更した。このため、やや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
β-カロテン-9’,10’-モノオキシゲナーゼ(CMO2)の酵素源として、マウスの肝臓ホモジネートが適切と考えていたが、調製できなかった。そのため、他の手法を検討した。その結果、リコンビナントタンパク質およびいくつかの培養細胞での発現を確認した。発現を高める条件も見いだした。一方、計画進行に必要な各種カロテノイドについては、シフォナキサンチン、ネオキサンチン、ビオラキサンチンをはじめ、市販されていない特殊なカロテノイドを含めて、実験に必要な量の調製はできている。したがって、今後はこれらの酵素源を使用して当初の計画を遂行する予定である。 すなわち、各種水産カロテノイドに対するCMO2の基質特異性、反応生成物の解析をまず尾来なう。ついで、反応生成物の核内受容体に対するアゴニストあるいはアンタゴニスト活性を調べる。 さらに、生成物の各種機能性を調べる。特にアポトーシスに関与する因子やシグナル伝達経路、血管新生、脂肪細胞分化に対する影響をターゲットとする。 現時点では動物実験も予定しているが、当初予定よりやや遅れ気味であるので、今後の進展状況により判断したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は細胞実験を多数行うため、培養に必要な培地類、また遺伝子発現の解析のために必要な分析試薬等の購入に比較的高額の研究費が必要である。 また、機能性解析のためには、IL-8 などの炎症性因子やVEGFなどの血管新生促進因子、SP-1 などの血管新生抑制因子等々、各種サイトカイン類などもきわめて高額であり、これらの購入に本研究費を当てる必要がある。
|