研究課題/領域番号 |
24658188
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森田 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60371085)
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研究分担者 |
佐原 健彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (40357166)
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キーワード | ドコサペンタエン酸 / ラビリンチュラ微生物 / ポリシストロニック発現 / 出芽酵母 / 高度不飽和脂肪酸 |
研究概要 |
本研究は、ドコサぺンタエン酸(DPA)生産海洋性ラビリンチュラ微生物のDPA合成機構の解明を最終目標とし、1)DPA合成に関与する遺伝子(群)の単離、及び2)出芽酵母におけるDPA合成酵素遺伝子群のポリシストロニックな発現を実現することを目指している。 当初は、既知のポリケチド合成酵素(PKS)様高度不飽和脂肪酸(PUFA)合成酵素遺伝子の情報を基に縮合プライマーをデザインし、RT-PCR法及びRACE法により目的の遺伝子の増幅を試みる予定であった。しかし、DPA合成に関与する遺伝子(群)の単離について、まずDPA生産海洋性ラビリンチュラ微生物L59株よりゲノムDNAを抽出、次世代シークエンサーを用いてドラフトゲノムDNA配列を決定し、その配列を解析することによって、DPA合成酵素遺伝子群を構成すると予想される各構成酵素をコードする遺伝子領域を確認することとした。 L59株は細菌(特にサイクロバクター属LB004株)との混合培養によって増殖が活性化されるが、その状態で抽出されたゲノムDNAは、L59株とLB004株の混合物である。そこで、昨年度サイクロバクタ-属LB004株の培養特性を調べ、L59株への影響がなるべく低くなる培養条件を引き続き検討した。しかし、検討した条件でもL59株の生長は遅く、L59株菌体を充分得ることは難しく、L59株の純粋培養できる可能性は現時点では低いことが解った。 L59株とLB004株の菌体混合物の脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーで分析したところ、DPAが検出されなくなった。現在、原因を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度に、海洋性油糧微生物であるドコサペンタエン酸(DPA)生産海洋性ラビリンチュラ微生物L59株よりゲノムDNAを抽出し、ゲノム配列の決定を行い、その結果を基にドコサペンタエン酸合成に関与する遺伝子の単離を行う予定であったが、L59株の培養がうまくいかなくなってしまい、それに伴いゲノムDNAの調製も予定通りできなくなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、海洋性油糧微生物であるドコサペンタエン酸(DPA)生産海洋性ラビリンチュラ微生物L59株を実験材料として用い、ゲノムDNAの抽出、次世代シークエンサーを用いた全ゲノム配列の決定、DPA合成に関与する遺伝子群のクローニングと出芽酵母での発現を試みる予定であった。しかし、L59株の培養がうまくいかなくなってしまったため、実験を思うように進めることができなかった。 今年度は、培養条件を検討し、早期にゲノムDNAの抽出、次世代シークエンサーを用いた全ゲノム配列の決定を行う予定である。L59株とLB004株との混合培養によって得られる菌体混合物から得るゲノムDNAと、LB004株単独で培養して得た菌体から得るゲノムDNAをそれぞれ解析し、L59株のゲノムDNAのドラフト情報を得ることを試みる。 また再度、特許微生物寄託センター(NITE)より分譲してもらい、実験を進めることも考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、海洋性油糧微生物よりゲノムDNAを抽出し。ゲノム配列の決定を行い、その結果を基にドコサペンタエン酸合成に関与する遺伝子の単離を行う予定であったが、海洋性微生物の培養がうまくいかなくなってしまい、それに伴いゲノムDNAの調製やゲノムシークエンスも予定通りできなくなってしまったため、未使用額が生じた。 前年度行う予定であった海洋性油糧微生物からのゲノムDNAの抽出、ゲノムDNA配列の決定、ドコサペンタエン酸合成に関与する遺伝子の単離を行うために使用する予定である。
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