研究課題/領域番号 |
24658189
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
木下 幸雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (90323477)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 農業経営 / 農業法人 / 海外進出 / 東南アジア / ジャパンブランド |
研究概要 |
日本農業再生の可能性を,農業法人によるアジア進出の動きに求め,ダイナミックにアジア農業進出の具体的な形態を追求するとともに,アジア農業ビジネスの展開に際して実務上の課題を析出することを目的とする。初年度は,『ジャパンブランド型進出』の可能性を中心に研究に取り組んだ。 まず,農業進出に既に取り組んでいるあるいは計画している農業法人(岩手・奈良)との打ち合わせを行い,さらにはアジア地域でのビジネスについて造詣が深い専門家(東京・神戸)との打ち合わせを行った。これらのパートナーとの研究体制の構築を図るとともに,技術・品質・知識・信頼といった日本農業がもつ優位性をどのように備えているかを具体的に確認できた。 次に,候補となる東南アジア諸国について,経済・企業データ等ビジネス環境についての分析とともに,気候風土や作目などの農法的条件解析の結果から,成功可能性の高い進出先をカンボジア,タイ,ベトナムの3国に絞ることとした。注目される動向は,以下の通りである。カンボジアでは,各種園芸作物を日本の技術で栽培し,独自ブランド野菜として同国内で流通させる取り組みがある。タイでは,野菜を有機栽培し,さらにそれを原料として健康飲料を製造・販売して高付加価値化する取り組みがある。ベトナムでは,日本農産物の販路確保を図るために,総合的な日本ブランドをプロデュースする事業がある。また,当該国から研修生を日本に招聘し,将来の現地進出時の幹部候補生として日本式の農業経営マネジメントを修得させる人材育成の取り組みも注目される。 最後に,アジア農業ビジネスの展開に際して実務的課題は,①基本資源(土地・水,資金)の調達,②技術資源(労働力,生産資材,種苗)の調達,③農産物流通・販売ルートの確立,④現地ビジネスパートナーの発掘,⑤信頼できる情報源の確保,⑥法的組織の選択,⑦人的組織の構築であることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力パートナーとの時間的調整の不足により現地調査が十分にできなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究協力パートナーとの時間的調整を十分に行った上で現地調査を実施し,日本農業の国際競争力の可能性を検討するとともに,進出先国の農業にとってどのように寄与するか,アジア農業発展のための新しいアプローチとして理論化を試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究協力パートナーとの時間的調整を十分に行った上で,今年度,主に現地調査を実施するための費用にあてる。
|