研究課題
1)本研究課題では、農村ツーリズムを農業の多面的機能として生じる正の外部性を内部化して、農業者がビジネスとして所得化する経営活動として規定した。2)我が国の酪農教育ファームを対象として、酪農体験サービスの自立化に向けた経営者の意識要因の分析を行い、正の外部性の内部化が生じるプロセスを解明した。その結果、当初ボランティアから始まり、次に原材料費の回収段階にいたり、最終的に体験サービスの料金賦課にいたることを明らかにした。この段階的プロセスを、段階的農村プロダクト・イノベーション仮説と規定した。3)地域ブランド農産物と農村における観光活動との関連性を実証的に明らかにするため、地域ブランド農産物の経済効果が地域の観光活動の経済効果に作用すると想定する二段階計量経済モデルにより、両者の正の関連性を明らかにした。その結果、地域内でのレストラン部門との連携、食と農業体験教育の連携の重要性を指摘できる。4)千葉県松戸市を対象にした食育ボランティアの意向に作用する要因について解析した結果、40歳以上の世代、環境意識、健康意識、地域社会への意識の高い市民がより積極的な意向を持つことを解明した。5)集落ベースの農村ツーリズム活動について、千葉県南房総市の廃校利用による取り組みのケーススタディによりその特徴と課題を分析した。その結果、地域社会のつながりを示す社会資本の重要性を示している。しかし、高齢化が進み次世代の育成とこれまでの集落全体のコンセンサスに基づく、運営方法の再検討が必要となっていることを明らかにした。
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