研究課題/領域番号 |
24658196
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
飯國 芳明 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (40184337)
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研究分担者 |
大田 伊久雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (00252495)
緒方 賢一 高知大学, 人文社会科学系, 准教授 (00380296)
吉尾 寛 高知大学, 人文社会科学系, 教授 (40158390)
玉里 恵美子 高知大学, 総合教育センター, 准教授 (40268165)
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キーワード | 土地所有権 / 中山間地域 / モンスーン・アジア / 土地利用 / 国際研究者交流 / 台湾 / 韓国 |
研究概要 |
本年度は初年度に示した制度的調査を踏まえて,1)各国を特徴づける所有権形骸化の経路の解明を進める、2)韓国、台湾においては、形骸化の萌芽を的確に捉えて今後の展開を見通す、3)日本の分析では、すでに形骸化が進展している地域においていかなる対策が可能かの検証を中心に行う、の3点を課題とした。 1)2)については、台湾を中心に2013年11月30日~12月5日に台東、嘉義、台中の現地調査を実施した。台東と台中では、それぞれブヌン族、タイヤル族の人口の変化や就業状況などを調査するとともに、原住民の専門家を嘉義大学、台湾大学に訪ねて、その動向を整理した。台湾では、これまで中山間地域の主たる居住者が原住民であるため、その移動が制限され、所有権の形骸化は発生しにくいとの見解があった。しかし、実態調査からは原住民の移動が活発化して所有権が形骸化する兆しが確認された。これは西部で顕著に観察された。また、韓国のケースについては慶尚大学の研究者などからのヒアリングから、中山間地域の居住者がすべて転出する場合には、土地を売却するケースが多く、土地の流動化が著しい実態が認められた。 日本については高知県大豊町の一集落を対象に地籍調査、不動産登記、不動産課税台帳などとともに、地域住民へのヒアリング調査を進めた。この調査より、所有者が死亡しても相続手続きがとられないケースが一般化しており、登記簿上の所有者の半数はすでに死亡者であり、それらが所有する土地の面積も過半数にのぼることが明らかになった。また、調査対象となった集落は高齢化率が50%を超える統計的な限界集落であるが、住民ネットワークによる所有者情報は信頼できる形で維持されている点が認められた。この種の情報の取得は少なからぬ取引費用を要するものの、これを維持して次の世代に繋ぐ仕組みづくりが喫緊の課題となっている。
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